マナウスの課題

◆先週の大半は出張でブラジル北東部のサルバドールと北部のマナウスに出張。ブラジルといってもこれまで知っているのは、サンパウロとリオデジャネイロ以南の世界でしたので、どんな所なのか、楽しみにしていました。

◆その中で印象に残ったのがマナウスです。アマゾンの原生林のど真ん中に突如として大きな街が開けています。街に沿ってアマゾン川が横たわっており、その光景に圧倒されました。空港からの道路も綺麗に舗装されており、日本人が想像しそうなアマゾンとは異なる世界が存在しています。マナウスの人口は150万人と言われていますが、関係者に聞けば、そもそも出生届も出していないような人々が街に流れ込んでいるだろうから、実数は200万人近くになっているのではないかとのこと。

◆マナウスの人口の推移について、1960年代後半は15万人だったことを考えると、急激な増加を示しているわけですが、その理由は、この地がフリーゾーン(免税都市)に指定されているためです。そのために、1960年代後半から70年代にかけて、欧米企業よりも先に日本企業が相次いで進出を果たしたとのことで、現在では、そのフリーゾーンに直接的に雇用されている人口は10万人に及ぶそうです。

◆その中で、2023年にフリーゾーンの税制恩典の時限立法が終了することの影響を現地進出企業に少し聞いてきたところ、面白い反応がありました。一つ目は、ブラジル政府として、フリーゾーンを安易に畳むことは難しいだろうということ。現在増え続ける人口の多くがフリーゾーンに何らかの形で関係するなかで、恩典がなくなれば多くの企業の撤退が生じ、その影響をブラジル政府は見誤らないだろうという見方です。

◆二つ目は、フリーゾーンの機能の一つとして、アマゾンの自然保護に資しているという議論があることです。これだけの雇用をフリーゾーンは吸収しており、もしフリーゾーンがなかった場合、人々は天然林の伐採に動いていただろうという見方です。これは、一つ目のポイントとも重なっているのですが、今後マナウスで多くの人々の職がなくなれば、彼らは木材を商売の道具にするということです。残念ながら、ブラジル政府はコントロールが難しくなるでしょう。

◆そして、最後に、恩典がなくなれば、企業は撤退するということです。マナウスから最大消費地のサンパウロまでの輸送は片道だけで2週間かかるとのこと(一般的に水上輸送と陸上輸送を行った場合)。それでも税制恩典というメリットがあるため、ビジネスを行っているとのこと。色々な関係者に聞いても、この辺りの議論についてはあまり難しく考えることはなさそうです。

◆ブラジル政府にとってのマナウスは、1960年代後半にあったアマゾン川奥地に対する「国防」という切り口や、マナウスフリーゾーンに代表される雇用も含めた「地域開発」という切り口から、「自然保護」のなども含めた新しいテーマが続々と出てきているようです。あまり知らずに現地に訪れましたが、ブラジルの面白さに更に気付かせてくれる訪問となりました。
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