ウルグアイ・ワイン

◆ウルグアイのワインの統計数字が新聞に載っていたので、備忘録として書きますと・・・。

・ウルグアイのワイン輸出量は2百万リットル
・この量は生産量全体の2%程度
・今年の生産量見通しは115百万リットル
・そして国内での消費見通しは80~85百万リットル

◆この数字について、地元のワイン関係者は生産過剰と見ているようで、理想としては、生産量を90百万リットル程度にして、更に輸出についても現在の2%から15%に拡大したいようです。ただし、この15%という数字、ウルグアイのこれまでの実績からすると、非現実的な響きがします。これまでウルグアイのワインが最も輸出された年は2000年で、その量は4.3百万リットル。現実的なアプローチとしては、5%を狙うというところが最初の一歩ではないでしょうか。

◆参考までに、ウルグアイのワインの輸出先ですが、やはり隣国のブラジルが一番で、その後は英国、ノルウェー、スイス、カナダ、ベルギーといった北米や欧州が続きます。ただし、そもそも輸出量が少ないので、現地でボトルとしてウルグアイのワインを目にする機会はほとんどないでしょう。距離的な事情からいえば、ウルグアイのワイナリーが一定の所得を有する近場の先進国に輸出するというのは賢明な選択なのかもしれません。

◆当地の新聞紙面において、今後輸出マーケットとして注目される場所が例示されており、それらには「カナダ、オランダ、スイス、ニュージーランド、日本」と出ていました。日本と出ている根拠については言及していませんでしたが、果たしてそれが妥当かどうかについて少し書きましょう。

◆まず、日本のジェトロにあたるウルグアイの輸出促進機関であるウルグアイXXIは、日本を輸出の有望市場としては見ていません。このことは、ウルグアイにおいて対日輸出は、政府が下支えしてるものではなく、極めて個々の企業のインセンティブに任せられています。

◆次に、先日東京で開催されたウルグアイ産品の展示会において、ウルグアイのワインが会場でアンケートの景品として配られたそうですが、出展したワイン企業はなかったと聞いています。実はこのことが日本におけるウルグアイ・ワインのステータスを示唆しているような気がします。つまり、「お土産にはいいのかもしれないが、商品としては機が熟していない」ということです。

◆出展企業がなかった理由の一つとして、先の新聞記事で関係者が有望市場に例示しても、現場のワイナリーの多くは日本市場まで出ていこうとするインセンティブが備わっていないことがあります。これまでの輸出実績を見るように、ウルグアイ・ワインの実績の中心は欧州です。その一番の理由は距離でしょう。その延長として、現在、彼らが重点を置いているのは北米市場です。彼らとしては、まず北米市場で足場を固めたいという思惑があるようです。

◆一方で、輸出志向になる場合、ウルグアイのワイナリーにも発想の転換が必要だと思われます。ウルグアイ・ワインの主要品種はタナットという非常にタンニンの強い品種であり、これを「ウルグアイ特産」として長年売りたがっています。ところが、彼らの頭の中に、例えば輸入企業にとって新しい商品を扱うことはリスキーだという概念が欠けています。先日モンテビデオで行われた対米市場セミナーにおいても米系IT企業の現地法人社長がこの点について口を酸っぱくして述べていました。つまり、米国市場への活路は、売れているラインを工夫をしたものであって、全く新しいものではないということです。これは米国市場だけではなく、普遍化できるものではないでしょうか。ウルグアイのワイナリーにとって、主力であるタナットにいつまでも力を入れることが、果たして新規市場への参画に適した判断か再考しないといけないでしょう。

◆ただし、皮肉なことに、発想の転換を目指しても、ウルグアイ・ワインに占めるタナットの比率が非常に高いため、輸出向けに出来るワインの量は限られてくるという問題が次に発生します。欧州市場においてもライトなワインが好まれる傾向にある中で、自らのストックの関係から、ウルグアイはタナットを輸出しなくてはいけないという呪縛にとらわれており、冒頭の15%という数字が短期的には非現実的なものだと改めて聞こえてしまうのです。
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