アメジスト

◆話をウルグアイ北部の旅に戻しましょう。この旅の詳しい話は既に妻のブログで続々と紹介しているので、そこに大方任せるとして、自分はニッチな話をしていきます。

◆アルティガスに入ると、鉱山を案内してくれるW氏と待ち合わせて、自分の運転でアルティガスから30分程離れた採掘場に向かいました。その途中では、当地のアメジストの話になりました。世界的なアメジストの産地としてウルグアイは名前が通っているそうですが、それらアメジストはこのアルティガス界隈で採れたものです。そして、「ブラジル産」アメジストの中にも実はウルグアイから流れてきたもの多いと説明を受けました。ウルグアイ産は、ブラジル産よりも紫の色が濃く、人気が高いとのことです(最後の部分はちょっと眉唾ですけどね…)。

◆実際に、ウルグアイ産アメジストの「ブラジル産」への変身する傾向については、統計資料によって裏付けられます。まず、2000年から2005年にかけてのアメジストの輸出統計では、次のように輸出が急成長を遂げていることがわかります。

2000年 17.3万ドル
2001年 30.3万ドル
2002年 42.7万ドル
2003年 53.2万ドル
2004年 71.2万ドル
2005年 104.6万ドル

◆5年間で約6倍の輸出額を記録しており、当地アメジスト生産者の羽振りの良さを察することができます。そして、この2005年の輸出額のうち、ブラジル向けのシェアは66.6%。ただし、これは公式の数値であって、W氏によれば、9割はブラジル向けとのこと。その意味するところですが、実はブラジルへの密輸の存在を示唆しています。

◆「9割」という数字を当て嵌めると、公式の輸出額は、密輸分を含めた全体の25%相当にしか過ぎないことになるので、そのまま鵜呑みにすることはできません。しかし、いずれにしても、輸出業者における輸出の際の煩雑な手続き、及び輸入業者における関税負担の免除を考えると、国境管理の甘いブラジル・ウルグアイ国境は魅力的なのかも知れません(個人的には、あんな重いものをどうやって密輸するのか不明ですが…)。

◆ところが、そのアメジスト輸出に変化の兆しが見えてきています。例えば、2006年(1-9月)の輸出額は56.0万ドルで、昨年同期比ではマイナス31%を記録しています。特にブラジル向けの輸出の減少が顕著であり、マイナス57%となっています。また、ブラジルのシェアも75%から47%に減っています。

◆この急激な変化の背景を聞くと、(1)ブラジルという「仲買人」を廃し、直販を行うようになった、(2)精製過程をブラジルにアウトソースするのではなく、内製化の方向で動き始めた、(3)同じ貴石である瑪瑙(メノウ)の需要が高まり、生産者としてアメジストを輸出するインセンティブが低くなっている、等があるそうです。

◆全体の減少については、(3)が真っ当な理由になるかと思いますが、ブラジル偏重だったシェアの低下については(1)と(2)で説明できるのではないでしょうか。例えば、(1)を裏付ける統計として、今年に入ってから、過去に輸出実績のなかったイタリア向けの輸出額がブラジルに次ぐ第2位を占めています。また、(2)の影響としては、アメジスト及び瑪瑙の加工過程において、採掘だけではなく、精製や研磨を含めて地場産業の振興に役立っているとのこと。雇用でも3千人強が見込めるとのことで、4.3万人のアルティガスにとっては、大きな雇用源になる可能性を秘めています。

◆最後に、余談ですが、日本向けの輸出は、2000年以降を繙きますと、2005年に5.5千ドル程度という寂しい実績しかありません。現地の生産業者と話をしても、中国人やアメリカ人の好みについては的確に把握していますが、日本人の好みは「?」でした。日本のバイヤーはブラジル経由での調達が中心でしょうが、ウルグアイに直接買い付けるのもお得かもしれません。ちなみに、現地の値段ですが、右写真のもので、キロあたり、一番安いもので5ドル、一番高くても20ドルで話を始めることができます。如何でしょうか?
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