カテゴリ:米国のお話( 2 )

◆テレビをつけてCNNスペイン語版あたりを見ると、今日から始まったブッシュ米国大統領の南米歴訪が話題の中心です。エアフォース・ワンは既にサンパウロに到着したなど、なんとなくワイドショー化しているきらいもあります。ラテンアメリカ・ウォッチャーのブログで随時フォローアップすると表明しますしね。

◆自宅に戻ってのんびりしていると、最近よく聞こえるのは、飛行機の音。米軍関連の飛行機がモンテビデオ市内を飛び回っています。今週に入ってからの地元紙は、ブッシュ大統領ウルグアイ訪問の記事が中心になっていますが、最も掲載されている話題はモンテビデオの警備が如何に厳しくなっているかということ。空港からホテルまでの経路は当日、交通規制はもとより、駐車禁止になるそうです。そして、今週末のホテルはどこも満杯。モンテビデオに急遽やって来ると宣言した知人の宿の手配をしようとしたところ、どこもダメで、アパート・ホテルを一室見つけ出すのがやっとでした。現在のモンテビデオはオンボロ宿しか手配できません。あしからず。

◆ブッシュ歴訪先で生活する者として感じることは二つ。一つは、米国大統領の歴訪だけで十分な米国発の投資案件であること(日本の首相ではこんなことは起きない)。そして、もう一つは、「帝国」であることは非常にコストのかかることであるということです。前者に限って言及すれば、ブッシュ大統領の訪問関係でかかる宿舎関係のコストは一説に120万ドル(1億5千万円)程度と報じられています。期間中の前後には数100人単位の米国政府関係者が訪れているとのことであり、それだけでも結構なおカネを落としてくれています。カーニバル休暇のモンテビデオ→サンパウロ便には恥じらいもなく国務省と印刷されたシャツを着た暢気な米国人も見かけたりしました。

◆それでは、何故ブッシュ大統領はウルグアイに訪れるのか。大統領府のHPでブッシュ大統領訪問の行程がご丁寧にも紹介されていますが、具体的に両国トップ同士で膝を付き合わせなくてはいけない喫緊性のあるテーマはないというのが正直なところでしょう。「通商関係」ばかりがテーマに上りますが、これについては、4月以降から開始する二国間のTIFA(貿易投資枠組み協定)協議で話し合えば良いわけで、この時点でトップ同士が何かを決めるものでもないと思われます。牛肉や乳製品等の輸入枠組みの拡大でトップダウンの決断が米国側からあるかもしれませんが、サプライズが出て来る可能性は今のところ見受けられません。

◆そのほかに首脳会談で何が出てくるのかを考える上で一つ参考になるのが「誰が列席しているか」ということでしょう。ウルグアイ側を見ると、従来のメンバーのほかに、農牧水産相、教育文化相と厚生相が列席しています。農牧水産相は先の農牧産品の対米輸出の関係なのですが、異例なのは残りの2大臣。これは米国側の希望ではと思っています。今回のブッシュ大統領の南米歴訪の重点の一つは、同政権が南米の貧困問題の解決に本腰を据え始めたというメッセージを放つことです。左派が台頭した背景を米国政府としてそれなりに分析をした結果が今回出てくることになるのでしょう。そのための教育と医療等の分野での支援が考えられます。ブラジルは既にその線で調整しているような報道がされているので、ウルグアイも同様の提案が出てくると思います。

◆この貧困対策等への貢献ですが、南米大陸諸国との融和を考える際には真っ当な政策であると評価できるでしょう。道のりは長いかもしれませんが、例えばブッシュ大統領がウルグアイにおいて何らかのパッケージを提案したとすれば、ウルグアイの左派を中心に持ち合わせる心情的な嫌米感については緩和する方向性へと進み始める可能性も含んでいます。どうしても、最近の米国とウルグアイとの二国間関係はビジネスばかりが目立ちすぎました。そろそろ変化球を投げてもよい時期かもしれません。
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◆今朝(7日)のウルグアイの主要紙はいずれも「ブッシュ大統領、3月にウルグアイを訪問」と報じていました。どうも当国外務省筋がラジオ局(エスペクタドール)にリークして、ラジオ局の特ダネを新聞各社が後追い記事として書いたのが実際のようです。ウルグアイには政治ネタに強いラジオ局が幾つかあり、エスペクタドールはその一つ。立派なホームページも持っています。

◆今晩になって、ウルグアイ大統領府はホームページで公式にブッシュ大統領が3月上旬にウルグアイを訪問予定と発表しました。正式にはホワイトハウスから発表があるだろうとの但し書きもあるので、恐らく米国の公式チャンネルよりも早くブッシュ大統領の行動を把握することができたようです(苦笑)。

◆ブッシュ大統領の訪問予定先ですが、ブラジル、ウルグアイ、コロンビア、グアテマラ、メキシコとのこと。ウルグアイには3月9日~11日の間のいずれかに訪問すると見られています。訪問先からも分かるように、米国政府は「訪れやすい」場所を選んでいます。コロンビア、メキシコは中南米の中でも数少ない「右寄り」の政権ですし、ブラジル、ウルグアイは「左派」の看板を掲げていますが、実は米国にとって話しやすい大統領がいる国です。戦略的といえば、戦略的な外遊なのかもしれませんが、時期としてはあまりに後手に回りすぎた感が否めず、この歴訪で米国にとって目に見える成果が生まれるとは思えません。

◆ブッシュ大統領のウルグアイ訪問がバスケス政権にとって、吉と出るか、凶と出るのか。確かに、米国の大統領がウルグアイという小国にやってくることは、米国政府が同国の存在をそれなりに認めることであって、バスケス大統領にとっては気分の悪い話ではありません。ただし、この期に及んで何を話をするのかが不明です。一般的に「通商及び投資拡大に向けた話し合い」と言われていますが、やはりタイミングを逸しています。既にバスケス大統領は、昨年9月以降、対米FTAを政治的な禁じ手と見做しています。また、与党内の反米勢力は、更なる米国への歩み寄りは一切罷りならないとした態度を崩していません。当面、両国間では、通商拡大に資する協定の締結等は諦めるしかなく、米国資本のウルグアイ向け投資の活性化に専念するしかないようです。

◆3月に向けたバスケス大統領の課題は、如何に混乱を起こさずにブッシュ大統領の滞在期間を凌ぐかでしょう。与党内の共産党や社会党を中心とした反米勢力が活気付くことは容易に想像できます。アルゼンチンほど過激ではないでしょうけど、そこそこの騒ぎを起こそうとしているのではと思われます。
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