カテゴリ:ブラジルのお話( 36 )

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◆先週から日本のメディアでもブラジル南東部の豪雨による水害がニュースになっているようで、日本の友人からも「大丈夫?」というメールが来ます(ご心配ありがとうございます)。今回600名を超える人々が亡くなっているとのことで、はじめにご冥福をお祈りします。被害が起きたのは、主にリオデジャネイロ州の山間部の町(集落)。州都のリオデジャネイロから70~140キロ程度といったところで、標高が800~900メートル程度あるので、避暑地にもなっています。

◆今回の大きな被害の理由は、およそ50年ぶりにまとまった雨が降ったため。1月11日から12日の間の降水量は、一番の被害地になっているノヴァ・フリブルゴ(Nova Friburgo)で280ミリ、ペトロポリス(Petropolis)で135ミリ、テレゾポリス(Teresopolis)で112ミリとのこと。毎年台風に見舞われている日本からすれば大した降水量に見えませんが、一部の被害地ではその2日間でその月平均に相当する降水量もあったとのこと。つまり、雨にやられたという自然災害の側面があります。

◆また、併せて人災の要素も報じられています。例えば、当地の気象台は避難勧告を出したのですが、地元の消防団(のようなもの)など現場ではそれほどの対応をしていなかったらしく、それが「ブラジル国内史上最悪の水害」をもたらす原因の一つとなったとの見方があります。消防団の十分に機能していたとして、どこまで被害を減らすことができたかは分かりませんが、システムとして万全に備えておくことに越したことはありません。

◆ブラジル南東部(サンパウロやリオデジャネイロを含む地域)の1月は雨期に当たります。年末年始とずっとサンパウロ市内にいますが、毎日どこかで雨が降っていますし、半月ほど前からは雨が降ると市内のどこかで浸水被害が起きています。市内の中心部を取り巻くように流れているチエテ川でも氾濫が起きており、国際空港と市内中心部を結ぶ主要道路がマヒするような日もありました。

◆サンパウロの浸水について、サンパウロ州知事サンパウロ市長は相次いで今年は例年の平均雨量を上回っているためという自然災害の側面を強調しますが、地元主要紙では、警戒システムが機能しておらず、浸水地域のゴミ袋が排水溝に詰まって被害を拡大しているという対策の不備も指摘されています。いずれにしても、このような時には天災と人災が複合的に絡んで拡大するものでしょうから、何か一つに責任を求めるのはあまり意味がありません。どのように被害を防ぐのかに着眼点を置くべきでしょう。

◆その中で日本に何らかのヒントがあるのではないかというのが、今回のポイントです。先週の朝のブラジルの大手民放TV Globoのニュースでは東京の特派員経験者が東京の水害防止システムを丁寧に説明していました。昔であれば、さすが先進国という切り口だったのかもしれませんが、恐らく今ではブラジルもそこまでやるべきではないかというBRICSの一角を担う自負が含まれているように思えました。昨今の日本の官民によるインフラ輸出の機運ではありませんが、そのようなニーズのある場所を訪ねてみるのは一つの方法かもしれません。

◆また、冒頭の南東部の災害ですが、これも実は日本の地デジ方式決定後、南米のチリやペルーといった西海岸諸国に売り込みが図られているEWS(緊急警報放送)システムを援用する方法が考えられます。元々は大地震や津波のためのものとされていますが、場所によって用途が異なることは大いに考えられること。今回の甚大な被害を奇禍として、日本政府から「こんなシステムあるんですけど」と提案することに価値があるかと思われます。自然災害に見舞われることの多い日本としての貢献の方法は幾らでもあるのではないでしょうか。

(画像は、Nova Friburgoの全景。Wikipediaより)
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◆先日、地元紙(Estado de Sao Paulo)では、ウィキリークスによる米大使館公電の公表に関する記事が出ていましたが、その中で南米から欧州の麻薬の流れに関心を寄せていると報じていました。ちなみに、欧州のコカインの10%、フランスの40%がブラジル経由で到達しているとのこと。ただ、ブラジルが出所というわけではなく、ルートとしては、「ボリビア、コロンビア、ペルーなど→ブラジル→アフリカ(モーリタニア、アルジェリア、モロッコ)→欧州」といったものだそうです。

◆米国が関心を寄せるのは従来のコロンビアやメキシコから北上するルートだけかと思いきや、そうではないのですが、その訳はアフリカ内で発生したマネーがアルカイダの資金として流れていると見ているためだそうです。改めて米国政府が追いかける範囲の大きさに気がつかされます。

◆麻薬は、主にボリビアやペルー、又はコロンビアからブラジルに流れてくるそうですが、アフリカに向けてはブラジル最大の港であるサントス港やアフリカに地理的に近い北東部の港(サルバドール辺りでしょうか)から出ていくとのこと。そういえば、先日の地元のTV番組ではボリビアとの国境辺りから闇夜の国道を自転車で麻薬を運搬する運び屋が紹介されていたそうです。ブラジル国内では、麻薬はボリビアなどブラジルの西隣の国々から流れてくるというのがある程度の常識になっています。

◆そこで気になったのが先般リオデジャネイロで展開されたスラム街での麻薬カルテル一掃の動きです(日本では北朝鮮による韓国国境沿いへの攻撃であまり目立たなかったかもしれませんが、こちらでは連日生放送していました)。2016年の五輪などを意識して、地元警察や軍、更には行政が本気になったとの見立てがありますが、このような世界を股にかけた麻薬の大きな流れがある中で、この一都市の取り締まりにどこまでの効果があるかは不明で、もしかすると砂漠への一滴になりかねない可能性もあります。

◆根が深そうな問題がある中で、ブラジルでは1月1日に新政権の誕生となりましたが、話題の中心は経済の賑やかなものばかり。このような類の話は聞こえてこないのが実情です。

(写真のサントス港は、あくまでイメージです。埠頭の場所と本論とは何の関係もありません。為念)
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◆10月3日の投票日を待つブラジル大統領選。選挙戦を通じてサンパウロにいましたが、静かな中で当日を迎えることになりそうです(あくまで2004年ウルグアイ大統領選との比較ですが)。世論調査会社のDatafolhaの最新の調査によれば、ルーラ現大統領の後継者である中道左派のジルマ・ロセフ候補が有効投票数の50%を獲得する見通しで、対抗馬の中道右派のジョゼ・セーハ候補(31%)、中道左派のマリナ・シルバ候補(17%)を突き放す流れとなっています。3日の投票で有効投票数の過半数をいずれかの候補が達成した場合、上位2候補による決選投票は行われません。地元紙の関心事項は、果たしてロセフ候補が過半数を達成するかの一点に集中されています。

◆様々な分析があるかと思いますが、主要候補と言われていたロセフ候補とセーハ候補いずれが勝利しても、ブラジルの政治経済にインパクトを短期的には与えないというのが一般的な見方です。それでもロセフ候補が勝利する要因は何かというと、有権者の多くが「変化」よりも「安定」を優先したためでしょう。それは、従来、中道右派が強いとされるブラジル南東部および南部においてもロセフ候補の支持が高いことから裏付けられます。セーハ候補が現在のブラジルを更に良くするための独自のメッセージを出すことができなかったこと、そして独自のメッセージがあったとしてもそれがぶれた印象を与えたことで支持の拡大に至らなかったのではと見ています。

◆次に、選挙戦略的には、やはり大票田を奪った候補者が勝つとの鉄則に尽きます。ブラジルの大票田は低所得者層です。ブラジルでは投票が義務のため、政治にさほど関心を有しない低所得者層まで投票行動に及びます。過去の大統領選挙で何度も苦汁を味わってきたルーラ大統領が最後に行き着いた結論は、この大票田へのバラマキだったのでは思ってます。そして、タイミングが良かったのは、そのバラマキをやる軍資金(オイルマネー等)が政府にあったこと。低所得者向けの住宅政策等を通じて、それら層が集積する北東部および北部の支持を確固としました。

◆これまで経験したことのない安定成長を前に、今のブラジル国民にとって「変化」とは必要としないキーワードになっています(この辺りが先進国とは異なります)。低所得者層にとっては、引き続き中道左派による手厚い支援を通じて待遇が改善することを期待するでしょうし、中間所得層以上の人々にとっても余程のことは起こらないだろうとの思惑が働くでしょう。ロセフ候補がどのような人物かを吟味せず、「ルーラ大統領が選ぶ候補だから」という判断基準を以て投票する有権者が相当数を占めることになるのではないかと思われます。

◆ただ、実は与野党とも今回の大統領選挙はそれほど重きを置いておらず、既に視野は次の2014年大統領選挙に移っているとの見方もできます。ルーラ大統領が再び選挙戦に登場する可能性は現時点で高く、ブラジルの国家的イベントとなる2016年のリオ五輪の開会式を視野に入れているのではとの憶測もあります。一方の野党も、何度も大統領選挙に登場したことがある手垢のついた候補ではなく、新鮮な候補が登場する可能性が高いと見られています。

◆最後に、今日現在のような過去にない安定感をもったブラジルが4年後も続いているとの楽観論が大勢ですが、現政権および与党が進める財政規律で、どこまで経済および財政を保つことができるのかは未知数です。世界経済の中で、過去にリーマンショックからの立ち直りが早かったことは事実ですが、それがブラジルの実力を意味するわけではありません。優秀なテクノクラートをこの国は抱えていますが、今年前半の欧州の動き一つでブラジルも少し風邪を引きかけたことは確認されています。2010年に中道左派候補が勝利することは、中期的には大きな意味合いを持つ余地を残していると見ています。
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◆最近、手を付けることができなかったブログ。罪滅ぼしで次の二つを紹介します。

「2010年下半期の業種別部会長シンポジウムの議事録」
最初にブラジル日本商工会議所で8月17日に開催されたシンポジウムの議事録(ページを開けて、名前の箇所をクリックすると議事録が開きます)。元々、ブラジルの最新の経済動向を追っかける上で便利な商工会議所のHPですが、この議事録はブラジルの日系企業が現地において何を考えているのか知る上で大変参考になると思います。関心業種だけでもいいでしょうが、個人的には一度通しで読んでみたい。

「サンパウロ・スタイル」
次に、こちらは、ジェトロが9月10日付でアップした「サンパウロ・スタイル」。サンパウロに出張する人や関心ある人に対して、写真や説明が満載の価値ある資料になっています。サンパウロでの人々の生活がどうなっているのかなど、最新の情報が盛りだくさんです(こちらは先週の出張時に全部読みました)。ちなみに、ジェトロの「スタイル」シリーズでは、このほか、「香港スタイル」、「広州スタイル」、「デリー・スタイル」、「クアラルンプール・スタイル」などが出ています。

◆最後に、大統領選を10月3日に控えたブラジル。数か月前までは、主要2候補が35%周辺で鎬を削っていましたが、先週末の世論調査を見ますと、ルーラ大統領の実質的な後継者であるジルマ前官房長が50%近くを推移し、対抗馬であったセーハ・サンパウロ州知事が20%台後半で伸び悩んでいるといます。目下の関心は、ジルマ候補が第1回目の投票で勝利を決めてしまうかというところ。ブラジルの将来の考える中で、PT(労働党)政権の継続については、賛否両論が出ています。
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◆ここ数カ月、久しぶりに南米で地デジ日本方式の話に触れた。前回は06年から07年頃のウルグアイだったが、当時はブラジルが日本方式に決まったものの、誰も本気で日本方式が南米を席巻するとは思っていなかった。総務省は技術のノウハウはあるけど外に手足を持ってはおらず、外務省は地デジの日本方式の普及を優先順位に置いていなかった。日本のメーカーにとってはどの方式でも構わないということで、オール・ジャパンとは言い難い状況がそこにあったと思う。その中で、南米に日本方式が席巻することになったのは、日本が主体的なあったのであれば、それは政府とか省庁、企業とかいった無機質なものではなくて、そこに所属していた人々の熱意と思惑の蓄積の結果だと思っている。

◆けど、熱意と思惑だけでは続かない。当時のプレーヤーも次々と変わっていく。どこかでシステムとしてしっかり構築しないと雲散霧消してしまう。久しぶりに見ると、南米における地デジの日本方式(ISDB-T方式)の普及というベクトルは、第1フェーズから第2フェーズへの移行の端境期にあると思っている。つまり、日本方式の採用という第1フェーズのゴールから、日本の技術の水位を南米諸国に見せつける(あるいは活用する)という第2フェーズのスタートラインに立っている。昨年から断続的にペルーのリマやアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されてきたISDB-T国際フォーラム(日本方式を採用した加盟国による集まり)は、そのスタートラインにおける制度設計などで力を入れたいとする総務省の強い意向が反映されたものと思っている(残念ながら、8月24日に開催されたサンパウロでの第3回フォーラムはメディアも扱わないほどのレベルになったが)。

◆そのような気持ちを酌んだ日本のメディアは、現地特派員も含めて次々とその線に沿った報道をしてきた。一部では、まるで南米に宝の山が眠っているような論調もあった。しかし、南米における地デジ日本方式の顛末を知れば知るほど、彼らが決まり文句のように書いてきた牧歌的な記事は書けないと思われる。

◆例えば「A国に日本方式が導入されたから日本企業のビジネスにチャンスがある」というフレーズがある。このような記事を書く記者の頭の中には、日本の製品を南米に輸出するというイメージを想起させているかもしれないが、少なくともブラジルでそのようなモデルは極めて厳しいと聞く。南米ではもしかするとFTAを締結しているチリやペルーに可能性があるかもしれないが、そのような国々でも価格競争力で日本勢は既に壊滅的な状況にあるとも聞いている。当然、ものによっては可能性はあるだろうし、日本国内で試行錯誤をしてきた日本企業の経験値は南米でのライバル企業群よりも高いかもしれない。ただ、それを単騎で戦えというのは酷である。

◆地デジ日本方式の普及を戦略として真剣に考えるのであれば、採用方式で満足するのではなくて、第2フェーズにおいてどのように主導権を獲得するかを考えないといけない。ところが、それを束ねるシステムを相変わらず見つけ出すことができない。例えば、ビジネスで潜在的な不利益を被りそうであれば、それを防ぐ動きを官民一体で相手国政府に対して行わなくてはいけない。受動的な動きはこれまでもやっているとして、試されるのは能動的な動きである。理想を言うのであれば、その尖兵となるのは大使館である外務省ではないだろうか。そこの構想力が試されるが、外務省が地域戦略としての南米における地デジ日本方式普及(深化)に向けた動きはあまり聞かない。動きで目立つのは相変わらず総務省である。

◆冒頭に「総務省は技術のノウハウはあるけど外に手足を持ってはおらず、外務省は地デジの日本方式の普及を優先順位に置いていなかった。日本のメーカーにとってはどの方式でも構わないということで、オール・ジャパンとは言い難い状況がそこにあったと思う」と書いた。実はこの状況は、程度の差はあるかもしれないが、あまり変わっていないと思っている。むしろ、今では、日本方式の母屋を借りて、ブラジル政府が好き勝手なことをしているようにも見える。このままでは、山本七平氏や野中郁次郎氏が取り扱いたがるような素材にまで堕ちてしまう。そんな懸念を持っている。
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◆ずいぶんとご無沙汰していました。前回はブラジルでの中古車購入事情を自らのケースを通じて話をしました。ひとまず購入する車が決まったので、あとは契約を行うだけでしたが、やはりブラジルは一筋縄ではいきません。結論からすると、話は振り出しに戻りました。

◆車のエージェント(agencia)との話し合いで購入金額が決まり、契約に先立つ各種修理も合意しました。こちらは自分のブラジルの銀行口座に購入資金の送金も完了。それから、契約直前にもう一度話し合いを持ちましたが、そうすると色々と不可解な点が出てくるではありませんか。当然、このような不可解な点は、売る方ではなく、購入する側が見つけ出す必要があります。

◆まず、支払いから所有に至る手続き。対象となる車の所有者はエージェントのオーナーになっているのですが、どうも銀行のローンが完了していません。これについて、オーナーは私の購入資金を宛がうとの説明。「まあ、俺を信用しろ」とのことです。ただ、調べてみますと、車のローンの支払いが終わらない限りは、車の所有者は変わらないのがご当地の事情。払い込んだけど、車の所有者が変わらない可能性があるとのこと。

◆次に、この車で犯した交通違反の累計ポイント。購入しようとする車は売り物なんですけど、オーナーがプライベートで使っていることが判明。交通違反のポイントもさることながら、罰金の支払いも終わっていませんでした。実はブラジルはネット社会でもあるので、交通違反のポイントはネット経由で見つけ出せるのですが、それも2か月前までのものまでなので、ここ最近のことについては不明。例えば、そのオーナーがその車で違反をしていた場合、次の所有者になるかもしれない私はいきなり免停になる可能性も排除できないということに。

◆そんなこともあって、セカンドオピニオンで、長年ブラジルで車の手続きビジネスに携わっている方に相談しますと、「書面からしか言えませんけど、私なら買いませんね」と最初に一言。「例えば、ローンの件、これが始まっているのって、今年の5月ですよ。まだたくさんのローンが残っているはず。また、本当に売りたいのであれば、店のオーナーなんだから、それぐらいのお金の工面はつくはず。それを出来ないって言っているのは理解できないですね」と丁寧に説明。最後に、「毎晩心配しながら眠りたくないでしょ。やめた方がいい」とダメ押し。

◆それからは、アドバイス。「ブラジルの中古車販売店では、エージェント(agencia)と代理店(concessionaria)がありますけど、この二つは大違い。前者は数十年の実績があると言っても、逃げるときはすぐですからね。その点後者は評判を気にするので、中古車をどうしても買いたいなら、後者での購入を勧めます」とのこと。相手がお店だからという感覚で唯唯諾諾に進めているとエライ目に遭っていたかもしれないケースですね。

◆ということで、車の購入はもうしばらくかかりそうです。ちなみに、中古車探しですが、先日のicarros.com.brのほかに、automovel.com.brも紹介してもらうことに。前者と同じ検索機能だと思うのですが、後者の方が対象車種が多いので、腰を据えてやっていきます。
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◆ブラジルに到着してから、そろそろ4カ月。ID番号を手に入れ、納税者番号も然り。それから自動車免許も手に入れ、銀行口座もそろそろ開くはずということなので、先週辺りから、iCarrosというサイトで自動車を探し始めていました。

◆日本との比較にとどめておきますが、ブラジルの自動車の価格はものすごく高いです。どのくらい高いのか。参考までにブラジルで生産されている日本メーカーの車の値段を紹介します。

ホンダ フィット 54,905レアル(約270万円)
トヨタ ニューカローラ 62,110レアル(約305万円)
ホンダ ニューシビック 73,430レアル(約360万円)
ホンダ CR-V 88,410レアル(約435万円)

◆東京での生活では全くお世話にならなかった自動車ですが、さすがにサンパウロでは必要不可欠になっています。例えば、移動一つでも、地下鉄やバスを娘と一緒に駆使することは一苦労です。また、近郊に小旅行をするにしても、不条理な行動を起こしやすい娘がいる限りにおいては、バス旅行などはかなり先の話になると思っています。

◆さて、車探しの条件ですが、「ステーションワゴン的なもの」と「オートマ車」と絞りをかけていました。その結果、ウルグアイの駐在時に乗っていたプジョー307SWかトヨタのフィールダーということに。職場の仲間からは「中古車は7割ハズレ」と聞かされていましたが、残念ながら、予算と相談すると、新車は高嶺の花ですし、そもそも先の両候補とも新車としてはブラジルで売られていませんでした。ちなみに、2~3年落ちのものの相場は次のようなものでした。

プジョー 307SW 37,000~49,000レアル(約180~240万円) 
トヨタ フィールダー 38,000~50,000レアル(約185~245万円)

◆それからプジョー307SWに決めました。決め手は妻の「ルーフのガラスが大きいから」の一言。運転手はそれなりに運転を楽しめるにしても、一緒に乗っている人が楽しくなければという気持ちに。それから二人して、2台ほど候補を絞ってから見に行き、最後に自動車に詳しい同僚に同行してもらい、判断を仰ぎました。

◆結果は「両方ともダメ」。最初の候補は、値段としてお得感があったのですが、60,000キロ以上走っていて、「へこたれている」とのこと。そして、もう1台に至っては、「ディーラーは決して言わないだろうけど、過去に結構大きな事故をやっている。また、タイヤの磨り減り方を見てもキロ数をちょろまかしている」とのコメント。同僚のコメントを聞かなければ、そのまま掴まされるところでした。「7割はハズレ」の奥深さを少し触れたような気がします。

◆夫婦して少し落胆していたところ、ちょうど同じ日、仕事の関係で自動車専用のショッピング・モールに立ち寄る予定が入り、上司と同行したところ、プジョー307SWがあるではないですか。50,000キロを超えていましたが、手入れは行き届いていて、傷は少しだけ。驚かされたのは、車内3か所にテレビ画面が配備されていたり、バックモニターもついている。それで値段もお手頃。こんな車がブラジルにあるのかと思いました。

◆その後、先ほどの同僚にも見てもらいましたが、彼が車を一通り見てから「いいねぇ」というコメントを発したところで決めました。ディーラーの担当者も群馬の伊勢崎に5年間出稼ぎ経験のあるお兄さん。これも何かの縁でしょう。3台見たところで、1台はアタリであれば、まあ「ハズレ7割」理論は健在であります。納車はちょっと先ではありますが、ここはブラジル、このまますんなりと行ってくれればと願っています。
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◆16日(金)から18日(日)にかけて、ブラジル・サンパウロではFestival do Japao(ふるさと祭り)が開かれていました。職場の仲間からも繰り返し勧められていたので、家族で出かけてきました。会場に着いて何よりも驚かされたのはその規模です。会場は大きく二つに分かれていて、入場してすぐの大きな室内展示場にはブースが相当数並んでいました。トヨタやホンダといった日系の自動車メーカーが車を展示し、日本の果実や野菜を即売するブースなども軒を連ねていました。また、ブラジルではまだお目にかかることのないウォシュレット(メーカーは不明)が展示されているブースに人だかりが出来ているなど、ブラジルにとっての新商品を試す場にもなっているようでした。

◆個人的に楽しみにしていたのは、もう一つの野外ブロックで、各都道府県の県人会の方々がブースを構えて、ご当地の料理を即売していました。17日(土)の午前中に出かけたのですが、沖縄そば(沖縄県県人会)、笹団子(新潟県県人会)、柿の葉寿司(奈良県人会)、広島風お好み焼き(広島県人会)などを次々と食べ、野沢菜漬(長野県人会)をお土産に持ち帰りました。ウルグアイでも日系人の方々が頑張っていましたが、サンパウロの規模は桁違いですし、何よりもその日系人というグループの動員力は敬服ものです。

◆先日も人生の大先輩から「サンパウロは何と言っても世界最大の日系人都市ですから、色々と汲めども尽きぬ勉強の材料があることでしょう」とアドバイスをもらいましたが、改めて、日系人の方々の存在感には関心を抱かざるを得ません。その取っ掛かりとして、これも大先輩から紹介された『百年の水流』(外山脩著)を毎晩読んでは興奮を覚えています。ちょうど800ページの大著で、なかなか前に進んでいませんが、それでも読み続けさせるのは、恐らく同著内のこのフレーズがあるからだと思います。

「その志、夢は、この四人だけではなく、当時の邦人社会の指導者の胸中に多かれ少なかれ燃え続けていた炎である。
 この炎を知らずしては、この国に於ける邦人社会の歴史は理解できないし、その炎の存在を否定したら、歴史から艶が消え、ただの、つまらぬ移民の苦労話となってしまう。
 記録するには値せぬ。」 (272ページ)


◆ここに来るまで、その炎の存在を知らずにいましたが、ブラジルにやってきて、遅まきながらその存在に気付きつつあります。
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◆先週の大半は出張でブラジル北東部のサルバドールと北部のマナウスに出張。ブラジルといってもこれまで知っているのは、サンパウロとリオデジャネイロ以南の世界でしたので、どんな所なのか、楽しみにしていました。

◆その中で印象に残ったのがマナウスです。アマゾンの原生林のど真ん中に突如として大きな街が開けています。街に沿ってアマゾン川が横たわっており、その光景に圧倒されました。空港からの道路も綺麗に舗装されており、日本人が想像しそうなアマゾンとは異なる世界が存在しています。マナウスの人口は150万人と言われていますが、関係者に聞けば、そもそも出生届も出していないような人々が街に流れ込んでいるだろうから、実数は200万人近くになっているのではないかとのこと。

◆マナウスの人口の推移について、1960年代後半は15万人だったことを考えると、急激な増加を示しているわけですが、その理由は、この地がフリーゾーン(免税都市)に指定されているためです。そのために、1960年代後半から70年代にかけて、欧米企業よりも先に日本企業が相次いで進出を果たしたとのことで、現在では、そのフリーゾーンに直接的に雇用されている人口は10万人に及ぶそうです。

◆その中で、2023年にフリーゾーンの税制恩典の時限立法が終了することの影響を現地進出企業に少し聞いてきたところ、面白い反応がありました。一つ目は、ブラジル政府として、フリーゾーンを安易に畳むことは難しいだろうということ。現在増え続ける人口の多くがフリーゾーンに何らかの形で関係するなかで、恩典がなくなれば多くの企業の撤退が生じ、その影響をブラジル政府は見誤らないだろうという見方です。

◆二つ目は、フリーゾーンの機能の一つとして、アマゾンの自然保護に資しているという議論があることです。これだけの雇用をフリーゾーンは吸収しており、もしフリーゾーンがなかった場合、人々は天然林の伐採に動いていただろうという見方です。これは、一つ目のポイントとも重なっているのですが、今後マナウスで多くの人々の職がなくなれば、彼らは木材を商売の道具にするということです。残念ながら、ブラジル政府はコントロールが難しくなるでしょう。

◆そして、最後に、恩典がなくなれば、企業は撤退するということです。マナウスから最大消費地のサンパウロまでの輸送は片道だけで2週間かかるとのこと(一般的に水上輸送と陸上輸送を行った場合)。それでも税制恩典というメリットがあるため、ビジネスを行っているとのこと。色々な関係者に聞いても、この辺りの議論についてはあまり難しく考えることはなさそうです。

◆ブラジル政府にとってのマナウスは、1960年代後半にあったアマゾン川奥地に対する「国防」という切り口や、マナウスフリーゾーンに代表される雇用も含めた「地域開発」という切り口から、「自然保護」のなども含めた新しいテーマが続々と出てきているようです。あまり知らずに現地に訪れましたが、ブラジルの面白さに更に気付かせてくれる訪問となりました。
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◆ここしばらく気になる数字の一つがブラジルの通貨であるレアルのレート。先月は1.75レアル/米ドルであったのが、いつの間にか1.85レアル/米ドルを超えています。新興国のトレンドとして自国通貨は強くなる中で、やはり欧州の金融不安の影響がじわりと利いている様子。一部メディアでは、欧州からの投資でブラジルの好況は成り立っていたとの論調もありましたので、様々な憶測を呼んでいるかもしれません。

◆このレアル安によって、関係者の悲喜交々が起きているのではないでしょうか。最近、金利の高いブラジル債券やその関連のファンドへの投資に人気がありますが、これは現地通貨がベースでしょうから、個人投資家にとって、レアル安は予想していなかったかもしれません。

◆今日、或る日系企業の工場見学をしましたが、その席で、その会社の社長が、「ブラジルは時折通貨が大きく暴落することがあって、インフレに結び付くことがあります。例えば2002年のルーラショックの時のような・・・」といった趣旨のコメントがありました。ブラジル経済に対して、このような予防線を張った発言をここ暫く聞いていなかったので新鮮な響きがありました。現地の企業経営者は、今後のブラジル市場に対して、その辺りまで考えています。

◆そんな折、地元紙では、10月のブラジル大統領選に対する世論調査で、これまで大差がついていた与党候補と野党候補が同率になったと報じています。与党候補が追いついた背景には、人気の高いルーラ大統領の後継者であることや、低所得者層に対する大盤振る舞いが効を奏して北東部では断然強いとか伝えられています。ただ、欧州の動向次第では、経済への見識や危機管理能力など、新しい争点が出てくるかもしれませんし、今後のブラジルの置かれる環境が少し変わるかもしません。
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