カテゴリ:東京での日々( 1 )

◆日本に戻ってきてから8ヶ月近く過ぎ、このブログへの書き込みも暫くご無沙汰していました。その間にブログのアクセス総数は20万件を突破しており、これも皆様のお陰だと思っており、改めまして御礼申し上げます。年の瀬のご挨拶も兼ねて書き込ませてもらっています。

◆週末は友人の紹介を受けて、銀座で開かれていたワインの試飲会に。ウルグアイ滞在中には夫婦して地場のワインを飲み続けていましたが、どうしても日本に戻るとコストパフォーマンスとの兼ね合いから色々なワインを試すことがなくなりました。何せウルグアイでは輸出用の樽仕込のワインでも8~10ドル程度で売られているのですから、随分と贅沢な時間を過ごしたと思います。

◆そもそも、ウルグアイでワインを生産・輸出していることは知られていません。南米のワインといえばチリであり、それに最近アルゼンチンが知られるようになってきた程度でしょうか。ウルグアイ・ワインの対日輸出の実績を調べてみますと、2006年及び2007年は4千ドル程度に過ぎません。ケースにしても400~500ケース(6本入り)程度のようです。言ってみれば、趣味の域を出ないような商いで終わっています。

◆そこで興味本位に何処のワイナリーが輸出しているのか確認してみると、ここ2年間はEstablecimiento Valle Mariaというところが主です。ウルグアイ・ワインについて少しばかし知識を蓄えてきた自分でも知らないようなマニアックなところが実績を出しています。 この他にも、最近3~4年間に、ウルグアイ・ワインとして比較的多く対日輸出された銘柄がありますが、いずれも「フランス・ワインとの抱き合わせ販売で日本にやってきた」とか「糖分の入っていないオーガニック・ワイン」という曰く付きのワインばかりで、そのような方法でしかウルグアイ・ワインは売れないんだなと観念した記憶があります。

◆ウルグアイ・ワインが普及しない理由は、日本市場においてウルグアイ・ワインが「割に合わない」と買い手も売り手も思っているからでしょう。現在、東京都内でもウルグアイ・ワインを2銘柄ほど売っている店(写真参照)がありますが、一つは2,100円で、もう一つは3,500円周辺で販売されています。ウルグアイ・ワインの「売り」の一つは、タナット種という独特の濃厚なブドウ種にあるのですが、同じワイン・ショップ内でアルゼンチン産のタナット種も同じ価格帯で売られていることを考えると、改めて「未知の国」のワインのために2千円を落としてくれる客はまずいないでしょう。

◆また、ワイン通であれば話は別なのかもしれませんが、ワイン初心者の手に届く価格帯は1千円台までのような気がします。同じ南米の国々のワインであれば、チリやアルゼンチンの有名ワイナリーの銘柄で、この価格帯でお得感のあるワインを十分見つけることができます(例えば、チリのMontes Alpha)。そのような強豪相手に、ウルグアイ・ワインが2千円台以上の価格設定であるのは、更に普及を難しくする結果になっています(実際に先の店では売れている形跡が見られませんでしたしね)。

◆2006年11月にウルグアイ産品を取り扱った展示会がジェトロ(日本貿易振興機構)で開かれましたが、その直前に地場のワイナリーに対して「お宅は出展を考えないのか?」と個人的に尋ねた記憶があります。オーナー連中の答えは、「同じものを売るとして、日本市場と北米市場のどちらにチャンスがあるかと考えると、それは北米市場だ」ということでした。ウルグアイの売り手の立場から考えると至極真っ当な発想であり、そのような結果ウルグアイのワイナリーからその展示会への出展はありませんでした(試供品としてウルグアイ・ワインが配られていたようですが)。

◆そのようなオーナー連中の動きを裏付けるような統計を紹介しましょう。2007年1~11月期のウルグアイ・ワインの輸出額ですが、833万ドルを記録し、昨年同期比90.5%増になっています(この数字を見ても分かるように、ワイン輸出額は少ないです)。主なワイン輸出先ですが、ブラジル(305万ドル)、ロシア(171万ドル)、米国(63万ドル)、カナダ(57万ドル)、英国(26万ドル)となっています。特に、ブラジルへの輸出急増(昨年同期比2.5倍)とロシアという新規市場開拓の成功がウルグアイ・ワイン輸出の急増に資しています。

◆このように、日本市場でウルグアイ・ワインが普及する可能性は低いと思われますが、それはボトル・ワインの話であり、バルク・ワインであれば他地域の代替としての可能性があるかもしれません。ただし、その場合でもウルグアイ単独というのは考えにくいでしょうから、隣国アルゼンチンとのワンセットで考えるとかいったものになるのではないでしょうか。いずれにしても、供給側が主体的に何かを展開することは非常に考えにくく、需要側の意向に大きく左右されると理解して良いかと思います。

◆そのように考えてしまうと、われわれ日本の消費者が美味しいウルグアイ・ワインを口にするのは難しいようです。せめてもの朗報として、ウルグアイ・ワイナリーの大御所であるJuanicoの対日輸出実績が2007年後半にありましたので、もしかすると何処かのお店又は通販サイトでお目にかかる機会があるかもしれません。また、Juanicoほどの生産量ではないものの、評価の高いToscaniniのワインも先日或る通販で案内されていました。個人的にはこの二つの銘柄はおススメします。
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