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◆ウルグアイにおいて、閣僚人事を弄くることについては「静」の姿勢を決め込んでいたバスケス大統領ですが、3月になってから「動」の姿勢に転じています。1日にはディアス内相をトゥルネ下院議員に交代させ、22日には歳入庁のサイデンスタット長官と予算企画庁のビエラ長官も同様に交代。新たにヘルナンデス歳入庁副長官及びルビオ上院議員がそれぞれ後任に任命しました。

◆これら交代における特徴ですが、次のとおり。まずは、いずれのポストも基本的には同じ派閥の人物が引き継ぎました。内相は社会党から社会党へ、歳入庁長官は野党・コロラド党から与党・拡大戦線関係者に、そして予算企画庁長官はVertiente Artiguistaといった按配です。日本では古い発想とされている派閥の盥回し人事について、皮肉にも左派政権のウルグアイではしっかりと継承されています(この知恵はイデオロギーとは全く関係ないということ)。バランス感覚が取り柄のバスケス大統領としては、この原則は現在のところ守られています。

◆また、この次期の閣僚の一部入れ替えについては、今後のバスケス政権の「ネジを巻く」意味も含まれています。まず、内相の交代については、左派政権になって以降、国民の間で潜在的に高まりつつあったのは治安への不安感です。この国の人々は常に過去を見たがりますが、その一つは治安だったりします。「昔はモンテビデオの街の中でも、鍵をかけずに家から出掛けていた」とは良く使われるフレーズです。人によっては、「軍政時代の方が、秩序があって、安全だった」と言う人までいます。バスケス政権になって2年が経過しましたが、治安に対する評価は低く、その矛先はディアス内相にも向いていました。新大臣への交代は、表面的には健康問題でしたが、実際はガス抜きと見るのが妥当でしょう。

◆そして、歳入庁長官人事と予算企画庁人事ですが、これは2007年を飛躍の年にしたいとするバスケス大統領の願望の現われと見ることができます。サイデンスタット長官ですが、中道右派から左派へと政権が代わった中での唯一の生き残りでした(同長官はコロラド党支持者)。これは、歳入が確実に増えていたことに対する政策の継続性を配慮したものと見ており、実際に政権交代以降も同長官は歳入(徴税額)を過去2年間で6割近く増やすことに成功しました。また、脱税に対しては厳しく対処する原理主義的な一面も見せており、脱税と見られる店舗に対しては相次いで差し押さえを実施しており、敵が多いのも特徴でした。今回の交代は、更に調べる必要がありますが、7月から導入される税制改革(個人所得税の新規導入等)に関連する人事と見られています。

◆そして、予算企画庁長官ですが、これは今年推し進められる「国家改革(reforma de estado)」に備えて、機動的に動ける人物を充てたと見るのが妥当でしょう。ビエラ長官は学者出身の穏健な人物で、どちらかというと使命感を持って業務に打ち込むというよりも与えられたものを淡々とこなすといった性格の人物です。個人的にも面識がありますが、例えば他省庁から縄張りを侵されたケースがあっても「仕方ないよ」という感じで迫力に欠けておりますし、就任以前から予算企画庁長官というポストにもそれほどの愛着を持ち合わせていませんでした。バスケス大統領は、ビエラ長官のままでは、今年最大の政権課題である「国家改革」を進められないと判断したのではと思われます。

◆最後に、今回の人事で誰が一番喜んだのかというと、アストリ経済財務相です。彼が画策したとは思いませんが、結果的にアストリ経済財務相を中心とする経済チーム(経済マフィア?)は非常に動きやすくなりました。特に、ビエラ予算企画庁長官とは、同じ共和国大学経済学部の教授出身の繋がりで、当初は同長官もアストリ・ファミリーの一員と思われていましたが、2005年8月末の5ヵ年予算策定時に、同長官がアストリ経済財務相の梯子を外す形で、バスケス大統領と予算最終案を纏め上げようとする「事件」があり、その際アストリ経済財務相は辞任を仄めかす「危機」がありました。その意味で両者には隙間風が過去1年半以上存在しており、それを今回の人事は解消する方向に動いています。
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◆最近のウルグアイの通商外交は賑やかな展開を見せています。先のブログにも書きましたが、3月9~11日にかけてバスケス大統領はブッシュ大統領を迎えて首脳会談を行いました。2月26日にはルーラ大統領がウルグアイを訪問しており、ウルグアイにとって鍵となる大国と通商面にかかる協議を一気に行ったことになります。

◆そして、次に待ち受けているのが4月9~10日に予定されているバスケス大統領のチリ訪問。二国間通商関係が話題の中心として予定されていますが、何が一体決まろうとしているかについては、ウルグアイ政府内で主導権争いが続いています。

◆誰が主導権争いをしているかというと、ガルガノ外相とアストリ経済財務相。この構図は、政権発足当時から変わっていません。前者は政権内でもメルコスールとの統合を最優先すべきという考えの持ち主。後者は、メルコスールの機能には限界があり、現状はウルグアイのためになっていないので、メルコスール加盟国を続けつつも、域外の通商関係を促進すべきという論者です。

◆実は、チリとの通商関係にかかる駆け引きについては、2006年後半から始まっています。同年12月にアストリ経済財務相がチリに官民ミッションを派遣しており、その際に将来的なFTAの締結の可能性を打ち上げました(参考)。その考えについては、バスケス大統領も賛意を示しており、同年9月に米国とのFTAを断念してからの次の一手としては効果的であると思われていました。

◆一方のガルガノ外相は、2007年1月に自らチリ訪問など行い、経済財務相主導で進められる通商外交の修正に躍起になっています。ウルグアイ政府を見た場合、通商面を含めたメルコスール統合を進めているのは外務省である一方、実質的にFTA戦略を検討しているのは経済財務省になっています。米国とのFTAについても外務省は蚊帳の外であり、バスケス大統領とアストリ経済財務相を中心に議論が進められてきたと見てよいでしょう。それは、ガルガノ外相としては、鼻持ちならないだけではなく、アストリ経済財務相の進める政策はメルコスールの軽視に映るわけで、与党・左派連合が決めた綱領にも受け容れらないと真剣に考えています。

◆ガルガノ外相が立てたチリ向けに戦略は、報道によれば次のとおり。
・メルコスールとチリとの間における関税逓減プロセスの前倒し(2012年→2010年)
・チリ及びウルグアイ両国による東南アジア市場の開拓戦略の共有化
・チリ(Prochile)及びウルグアイ(URUGUAY XXI)の貿易促進機関の戦略共有化
・チリの官民ミッションのウルグアイ訪問(3月末)

◆一方、アストリ経済財務相が立てている対チリ通商戦略は次のとおり
・チリとの早期FTA実現
・チリとウルグアイ企業による合弁化による対米輸出促進

◆以上の両者の戦略を比較しますと、アストリ経済財務相としては、ガルガノ外相の路線はtoo late, too smallであり、何もしないための時間稼ぎ程度にしか思っていないかもしれません。また、産業界にとっても、この戦略に実効性があるとは思っていないでしょう。例えば、現在のウルグアイでは、輸出促進に関与する省庁は5つに跨っており、一元化を試みているものの、外務省と経済財務省では折り合う余地がない状況にあります。その中で、外務省傘下にあるURUGUAY XXIに対する産業界の評価は非常に低く、ガルガノ外相の戦略は手持ちの駒を右から左に動かす程度のインパクトしかないでしょう。

◆また、ガルガノ戦略で新たに出て来た視点は、東南アジアを新規輸出市場として検討している点です。これは今までの政権内でまったく聞いたことのないテーマであり、更に言えば、何故この時期に東南アジアなのかという点が不明です。新聞報道によれば、バスケス大統領は今年の中盤にアジアを歴訪するとの話が出ています。その候補となっているのが日本、中国、インドであり、東南アジアは含まれていません。また、ウルグアイ外務省にとっても、同地域にはマレーシア以外に自国の大使館はないなど、地域全体を検討する余裕はないと思われます。

◆最近の報道では、ガルガノ外相は5月にも更迭されるとの話がありますし、そもそもバスケス大統領とは不仲であるとの話も伝わってきています。通商戦略についてバスケス大統領はアストリ経済財務相周辺に権限を与えているなかで、それに抗して孤軍奮闘するガルガノ外相の姿は痛々しさすら与えます。この閣内不一致、与党内の派閥バランスの維持のためとも言われていますが、バランス維持のコストはなかなか高くついているようにも見えます。
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◆テレビをつけてCNNスペイン語版あたりを見ると、今日から始まったブッシュ米国大統領の南米歴訪が話題の中心です。エアフォース・ワンは既にサンパウロに到着したなど、なんとなくワイドショー化しているきらいもあります。ラテンアメリカ・ウォッチャーのブログで随時フォローアップすると表明しますしね。

◆自宅に戻ってのんびりしていると、最近よく聞こえるのは、飛行機の音。米軍関連の飛行機がモンテビデオ市内を飛び回っています。今週に入ってからの地元紙は、ブッシュ大統領ウルグアイ訪問の記事が中心になっていますが、最も掲載されている話題はモンテビデオの警備が如何に厳しくなっているかということ。空港からホテルまでの経路は当日、交通規制はもとより、駐車禁止になるそうです。そして、今週末のホテルはどこも満杯。モンテビデオに急遽やって来ると宣言した知人の宿の手配をしようとしたところ、どこもダメで、アパート・ホテルを一室見つけ出すのがやっとでした。現在のモンテビデオはオンボロ宿しか手配できません。あしからず。

◆ブッシュ歴訪先で生活する者として感じることは二つ。一つは、米国大統領の歴訪だけで十分な米国発の投資案件であること(日本の首相ではこんなことは起きない)。そして、もう一つは、「帝国」であることは非常にコストのかかることであるということです。前者に限って言及すれば、ブッシュ大統領の訪問関係でかかる宿舎関係のコストは一説に120万ドル(1億5千万円)程度と報じられています。期間中の前後には数100人単位の米国政府関係者が訪れているとのことであり、それだけでも結構なおカネを落としてくれています。カーニバル休暇のモンテビデオ→サンパウロ便には恥じらいもなく国務省と印刷されたシャツを着た暢気な米国人も見かけたりしました。

◆それでは、何故ブッシュ大統領はウルグアイに訪れるのか。大統領府のHPでブッシュ大統領訪問の行程がご丁寧にも紹介されていますが、具体的に両国トップ同士で膝を付き合わせなくてはいけない喫緊性のあるテーマはないというのが正直なところでしょう。「通商関係」ばかりがテーマに上りますが、これについては、4月以降から開始する二国間のTIFA(貿易投資枠組み協定)協議で話し合えば良いわけで、この時点でトップ同士が何かを決めるものでもないと思われます。牛肉や乳製品等の輸入枠組みの拡大でトップダウンの決断が米国側からあるかもしれませんが、サプライズが出て来る可能性は今のところ見受けられません。

◆そのほかに首脳会談で何が出てくるのかを考える上で一つ参考になるのが「誰が列席しているか」ということでしょう。ウルグアイ側を見ると、従来のメンバーのほかに、農牧水産相、教育文化相と厚生相が列席しています。農牧水産相は先の農牧産品の対米輸出の関係なのですが、異例なのは残りの2大臣。これは米国側の希望ではと思っています。今回のブッシュ大統領の南米歴訪の重点の一つは、同政権が南米の貧困問題の解決に本腰を据え始めたというメッセージを放つことです。左派が台頭した背景を米国政府としてそれなりに分析をした結果が今回出てくることになるのでしょう。そのための教育と医療等の分野での支援が考えられます。ブラジルは既にその線で調整しているような報道がされているので、ウルグアイも同様の提案が出てくると思います。

◆この貧困対策等への貢献ですが、南米大陸諸国との融和を考える際には真っ当な政策であると評価できるでしょう。道のりは長いかもしれませんが、例えばブッシュ大統領がウルグアイにおいて何らかのパッケージを提案したとすれば、ウルグアイの左派を中心に持ち合わせる心情的な嫌米感については緩和する方向性へと進み始める可能性も含んでいます。どうしても、最近の米国とウルグアイとの二国間関係はビジネスばかりが目立ちすぎました。そろそろ変化球を投げてもよい時期かもしれません。
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◆3月2日、ウルグアイ政府は、300億円のサムライ債(10年もの、利率2.35%、主幹事行は三井住友銀行)の発行を発表するとともに、日本の関係者を迎えて署名式を行いました。大統領府HPに署名式の写真がありますし、公式発表も発表されています。ちなみに、3日付のウルグアイ主要各紙の経済面トップはこの話題が独占しました。(1面トップ記事並みのインパクトはありましたが、裏でバスケス大統領の政権2周年スピーチが入っていたため、その日2番目の扱いでした)。

◆ウルグアイがサムライ債を発行したのは、2001年以来6年ぶりのこと。そして、今回の特徴は、JBICが債券保証をしていることにあり、記者会見に望んだアストリ経済財務相はその点を強調していました。左派政権が発足してから2年が経過しましたが、アストリ経済財務相は、それまで有していた国際金融機関による条件付きの債務から、市場を通じた債券の獲得に体質をシフトさせていました(昨年11月に発表されたIMF債務全額返済はその一環)。既に、米国市場及び欧州市場を通じたドル債又はユーロ債は発行されていましたが、今回アジア市場に進出する意味でサムライ債は現政権にとって象徴的であったと思われます。

◆参考までに、日本での報道振りを確認すると、日本経済新聞が3月3日付で「ウルグアイ、サムライ債300億円発行・経財相会見」との見出しで報じています。日系各紙だけではなく欧米各紙も今回のサムライ債の発行については全く察知できておらず、現地紙も署名式後に行われた記者会見の内容の範囲を超えるような掘り下げた記事はありませんでした。記事の価値としては非常に高いと思われるのですが、同紙での記事そのものがそれほど大きく扱われなかったのは、やはりウルグアイが小国故なのでしょう。

◆今回の日本からの300億円というインパクトの大きさは、単純な債券の発行というビジネスの話だけではなく、その債券発行額分をウルグアイの公共インフラ設備等に宛がわれることにあると思われます。債務保証をしたJBICをはじめとした日本側としては、ウルグアイのインフラ整備が今後の日系企業のウルグアイ進出に向けて重要であるとのメッセージをウルグアイ政府に送ったと思われます。一方で、アストリ経済財務相が債務保証の部分を強調したがる理由は、そのような日系企業進出の可能性が、現政権が推し進める対内投資誘致に大いに資すると判断するためです。3日付エル・パイス紙によると、同相が記者会見の席で、最近開所式を行った矢崎総業の例を出して、更なる日系自動車関連産業の進出への高い期待を示していますが、同相が債務保証に拘る理由を理解すると非常に分かりやすくなると思われます。その意味では、日本側のメッセージとアストリ大臣の問題関心は一致しています。

◆また、3月3日付のオブセルバドール紙によれば、アストリ経済財務相は地上デジタルテレビ(地デジ)方式にも言及しています。両国において地デジ方式はアジェンダの一つであり、ウルグアイ政府は日本方式を技術的に高く評価している旨が報じられています。現政権内の実力者である同相がそのような好意的な発言を行っていることは日本勢にとっては心強いのではないでしょうか。

◆まとめになりますが、300億円のサムライ債の発行は、単純なビジネス活動を域を超えて、日本とウルグアイの二国間の政治経済関係において重要なインパクトを与えています。そして、2月中旬以降から相次いでライトアップされた「矢崎総業のウルグアイ進出」、「地デジ日本方式売り込み」、「サムライ債の発行」は、現在の両国間の将来を占う3点セットであると言っても過言ではないでしょう。地球の正反対側に位置する両国が近付くチャンスがやってきたようです。
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◆2月27日から3月1日にかけて、地上デジタルテレビ(地デジ)日本方式のプロモーションのために清水英雄総務省総務審議官(写真)を筆頭とした官民ミッションがウルグアイに訪問しており、3月1日付のウルグアイの主要紙等には、その様子が取り上げられていました。

◆日本でも2月28日付日経新聞がミッションの様子を報じていましたが、その内容は、チリ・アルゼンチン・ウルグアイの南米南部3カ国を訪問していたというもの。これまでの現地等の新聞報道から類推するに、南米における地デジの方式は、日本方式を選定したブラジルの次に、この3カ国辺りが決めるのではないかと思われています。そして、恐らく同総務審議官歴訪の主眼はチリで行われた日本方式紹介のデモンストレーションであり、その他についてはオマケだったのかもしれませんが、このタイミングのウルグアイ訪問は日本政府にとって非常に良かったと思われます。

◆それというのも、ウルグアイではちょうど同じ週に欧州方式を推進するスペイン政府の官民ミッションがウルグアイを訪問しており、同方式の売込みを図っていました。3月2日には当地でセミナーを開催するなど積極的な動きを見せています。ウルグアイでは、地デジ方式決定の交渉役に任命されているレプラ工業エネルギー鉱業相の過去の新聞インタビューの発言から、日本方式と欧州方式のいずれかに絞られている見られるなかで、両者が一同にミッションを派遣してきたその週は天王山であったと言えたかもしれません。

◆実際にその論調は、3月1日付の当地エル・パイス紙で見受けられます。まず、地デジ方式採用の暁には、EUはソフトウェア等の中小企業育成に資する技術協力を約しており、日本政府は人材の交流、企業向けの融資等を行う方向であるとした両陣営からオファーの内容が報じられました。ウルグアイ政府は地デジ方式の選定に際しては、技術的な見地からだけではなく、経済・社会的なインパクトを重視する姿勢を表明しており、両陣営からのオファーはその点を考慮したものになっていると思われます。エル・パイス紙は、両陣営が出揃ったとして、早急に決定すべきであると伝えています。

◆このエル・パイス紙の論調をなぞるわけではないのですが、日本政府が官民ミッションを派遣して日本方式採用に向けて本気になっているのであれば、自ら主導権を発揮して早急に決めさせてしまうような環境を醸成する必要があると考えられます。理由は次のとおりです。

◆一点目は、ウルグアイとブラジルの関係です。2月26日にルーラ・ブラジル大統領は、ウルグアイを訪問し、バスケス大統領と会談を行いました。会談後、両国に係るコミュニケが発表されましたが、ルーラ大統領が関心を有するアジェンダの中に地デジ方式の決定が含まれています。ブラジルとしては、南米の統一規格として、自ら採用した日本方式(彼らはブラジル方式と思っているでしょうが)以外のものは認めがたいと思っている節があります。その意味でも、日本政府は、ウルグアイを説得させる最も強力な味方を有しています。また、ルーラ大統領訪問の熱が冷めないうちに、日本政府が官民ミッションを送り込んだことは、非常に効果的であったと考えられます。

◆二点目は、ウルグアイとアルゼンチンの関係です。ウルグアイは、ブラジルとアルゼンチンという南米の大国に挟まれているものの、アルゼンチンとのしがらみの方が強いです。その大きな理由の一つはアルゼンチンとウルグアイはスペイン語を話し、ブラジルはポルトガル語を話すことです。したがって、現在の地デジ方式という国盗り合戦を前にして、日本がブラジルを盗ったということは、必要条件ではあるかもしれませんが、十分条件ではないということです。南米に普及させるためにはスペイン語圏のどこかで実績をあげる必要があります。その実績の対象がアルゼンチンとなれば良いのですが、ここは欧州勢が強力という話しか聞こえません。もし、アルゼンチンが欧州方式になった場合には、大方のテレビ番組をアルゼンチンから拝借しているウルグアイは、大きなジレンマに苛まれることになりますし、日本勢にとっても非常に不利な状況に陥ります。

◆そのような構図を裏付けるように、3月1日付のブスケダ誌では、欧州勢の専門家が「ウルグアイがいずれかの方式の決定を急ぐ必要はない」と発言しています。その意味するところは、ウルグアイは、アルゼンチンが欧州方式に決定すれば、それに従うだろうという自信です。実は、ブラジルが攻勢をかけている現在は、欧州勢にとって有利な状況ではなく、その流れを変えるのがアルゼンチンの欧州方式決定にあると思っている節があります。日本勢の代理人としてブラジルがウルグアイに圧力をかけているのと同様に、欧州勢としてはアルゼンチンが自陣の代理人としてウルグアイに圧力をかけて欲しいと考えるのかもしれません。

◆ブラジルの次に日本方式を採用する国を作り出すことが日本政府にとっての最優先課題であると思われます。その意味では、国の大小は二の次であって、一番可能性のあるところを攻めるべきではないでしょうか。先の総務審議官の訪問先を比較する限りでは、ブラジルからの圧力への脆弱性なども含めると、贔屓目を抜きにしても、ウルグアイが一番可能性があると思われます。現地メディアが今が正念場と焚き付けてくれるのであれば、それを利用するのも一計だと思われます。

◆まとめになりますが、この小国であるウルグアイに関して言えば、アルゼンチンの決定より先に(本当はチリよりも先が望ましいのですが、日経新聞によれば3月下旬に決定するそうなんで間に合いませんが)日本方式にすることを確約させない限り、日本政府はこの国での戦いに敗れることになると思われます。タマは日本政府にあり、正念場の活かし方が試されます。
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