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先日のブログでも触れましたが、ウルグアイのベルガラ経済財務次官が東京で投資誘致を目的としたセミナーを開催しました。その様子については、スペインの通信社EFEが報じており、それを転電する形で、23日付のウルグアイの地元紙El Paisでも掲載されていました。当日は現場にいなかったのですが、仄聞したところなどから、「経済セミナー」を読み解きたいと思います。

◆ベルガラ次官が何を話したかについては、IDBのHPを参照すると当日のセミナーのPower Pointを眺めることができます。端的に説明してしまえば、「ウルグアイはメルコスール加盟国の中でも国の質が高く、経済も順調であり、南米南部のハブにするには最適である。政府としても投資誘致インセンティブを導入して、今後とも経済成長に死活的に必要である投資誘致を進めていく」といったことを1時間近くかけて説明したかったのだと思われます。

◆ただ、揚げ足をとるのも気が引けるのですが、この資料、別に日本の聴衆に対して作られているわけでもなく、ウルグアイ経済財務省が欧米の金融機関等に債権発行の打ち合わせをする際にウルグアイの現状を紹介するために使われているもののようです。その証拠に、最後の頁には「債務対策室」の文字。経済財務省や同次官が忙しかったのか、そもそも彼らにヤル気がなかったのか。招聘で日本くんだりまでやってきた人間の気持ちの入れ具合が透けて見えてきてしまいました。

◆従いまして、当然のことではありますが、そのようなスピーカーの気持ちの下で行われたセミナーなのですから、聴衆が心を動かされるとは思えません。セミナーの中では、昨今矢崎総業や日本製紙、CI化成といった日本企業がウルグアイに進出していることは質疑応答あたり触れたそうですが、願わくばこれら企業の戦略に見合った政策をウルグアイ政府が遂行していると例示できるような気の利いた言葉が欲しかったように思います。

◆焼き直しのような資料を用いた今回のセミナーだけでは、「ウルグアイ政府の目標は対内投資額を継続的に増やすことであり、経済大国・日本もよかったらどうぞ」といった印象しか与えません。例えば、「ウルグアイ政府としては、投資誘致は国是であり、日本に対してもペルーとの間で目下検討されているような二国間投資協定を結ぶこともやぶさかではない。そのくらいウルグアイは日本をアジアにおける経済パートナーとして重要視している」というリップサービスを入れることで、日本企業にとってもウルグアイ政府は本気かもしれないと思わせることが可能になったのではないでしょうか。

◆ベルガラ経済財務次官は政治家出身ではないので、そのような真似は性格的に受け付けないでしょうし、余計なリスクを取ろうともしません。良くも悪くもテクノクラートです。そして、今回の訪問が招聘であることから察するに、ウルグアイ政府も今回の同次官の訪日を戦略的に活用しようする発想がなかったように思います。今年行われるかもしれないバスケス大統領訪日に向けた露払い程度にはなったのかもしれませんが、その程度のものでしょう。したがって、他の南米諸国と日本との二国間関係の動きに関心が及ばなかったことは当然といえば当然の帰結です。

◆更に、残念であったのは、先の政治的なメッセージが二国間にとって効果的であると示唆するような振付師が日本側にもウルグアイ側にもいなかったことです。この機会を最大限に活かすためにはどうすれば良いのかという想像力が今回の招聘に携わった日本・ウルグアイ両国の関係者に欠けていたのではないかと思われます。個人的に限られた経験を敷衍すると、そのような振付師は官民の枠を超えて存在するものだと思います。如何に多くの関係者から忌憚のない意見やアイデアに耳を傾け、より良いものを仕上げていくかにかかっている中で、同じIDBのHPに掲載されている来月のガルシア・ペルー大統領によるセミナーの案内を見ますと、日本にとってのウルグアイの存在感の薄さは決して距離やメイン・スピーカーの格だけによるものではないと感じてしまいます。
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先日のブログで、弱いドルのせいで2007年のウルグアイの対米輸出は大幅に下がったと述べました。その一方で、実質ドルにペッグしているような状況にあるアルゼンチン向けの輸出は、為替では不利でありながらも、昨年比で大幅に増加していることを述べました。今日は、その背景の一端について考えてみたいと思います。

ウルグアイ中央銀行の統計によると、2007年の対アルゼンチン輸出額は米ドルベースで昨年比46.1%増となっています。ウルグアイからどのような産品がアルゼンチン市場に流れ込んだのか。統計から拾い集めていきますと、(1)自動車関連製品、(2)石油製品、(3)化学製品の3つで輸出額の大きな伸びを示していていました。

◆それぞれのミクロの事情については、憶測の域から出ることがないのですが、自動車関連製品については、アルゼンチン・ペソ安によるアルゼンチンからの自動車輸出が好調であり、その部品供給地としてウルグアイも対象になっていることが考えられます。つまり、アルゼンチンの自動車産業ネットワークの中にウルグアイ企業もしっかりと入り込んでいることが考えられます。

◆そして、石油製品と化学製品については、恐らくアルゼンチン国内の供給不足から隣国の製品を求めたのではないかと思われます。特に石油製品については、産油国でありながらアルゼンチン国内の新規投資は価格統制のために芳しくなく、国内需要に見合う供給をとる態勢にはないのではと考えられます(これは飽く迄憶測の域ですが)。そのために、隣国から原材料となるこれら製品を仕入れ、アルゼンチン国内で最終製品に仕上げ、それらをブラジル市場などに輸出しているのではないかと推測されます。

◆ところで、面白いことに、これらのウルグアイのアルゼンチン向け有望製品の動向に波長を合わせるようにして、日本企業もウルグアイに進出を果たしています。例えば、自動車関連製品については、矢崎総業が2006年からアルゼンチンの自動車工場向けにウェア・ハーネスの輸出を行っています。また、化学製品については、CI化成が工場を構えるとの報道が2007年8月の時点でなされていました。

◆ウルグアイではANCAP(石油公社)が石油製品を独占していることを考えると、一部の日系企業ではウルグアイ(というよりも南米南部)進出にかかる鋭い戦略を既に持ち合わせていることが確認できます。これら日系企業はウルグアイ一国でビジネスを見ているわけではなく、アルゼンチンとブラジルという大きな市場を両睨みをしながら、製品の輸出等を進めていくものと思われます。2007年のウルグアイの対アルゼンチン輸出の急増は、ウルグアイにある企業がメルコスール市場においてしっかりと統合されつつあることを裏付ける一つの材料となるかもしれません。
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◆22日、AP電によると、EUがウルグアイ産の魚介類の輸入を衛生上の理由から停止したと発表しました。その記事によれば、ウルグアイの魚介類輸出およそ2億ドルのうち、40%がヨーロッパ向けとされており、ウルグアイにとっては痛手となっているかのように想像させます。ただ、記事を読んでいくと、ウルグアイ当局はEUの判断に対して従順な姿勢を示しており、少し意外な感じを与えます。この記事に見えてこないところは何かついて考えていきたいと思います。

◆ウルグアイにとって魚介類は伝統的な産品であり、輸出総額の3~4%あたりを占めています。ウルグアイ中央銀行も含めた幾つかの統計によれば、2007年の輸出額は1.55億ドルから1.70億ドルあたりを推移しています。

◆今回の経緯を整理しますと、EUからの検査官がウルグアイを訪問し、8つの魚介類工場を調べたところ、そのうちの4工場からの輸入を停止するとの判断を行いました。その後、水産資源局(DINARA)が独自に検査した結果、問題点が克服されるまで、すべての工場の魚介類の対欧輸出を停止する判断をしたそうです。

◆随分と思い切ったことを行ったようにも見えますが、果たして本当にそうなのか。統計を切り口にして考えていきたいと思います。そこで、2005年から2007年にかけての魚介類(HSコード:03)にかかる輸出額と主要対象国を紹介したいと思います。

・2005年(130,483千ドル) 
(1)イタリア、(2)中国、(3)米国、(4)スペイン、(5)ナイジェリア
・2006年(153,258千ドル) 
(1)イタリア、(2)中国、(3)ブラジル、(4)スペイン、(5)米国
・2007年(170,845千ドル) 
(1)ブラジル、(2)イタリア、(3)ナイジェリア、(4)スペイン、(5)中国

◆このデータからも判明するように、魚介類の輸出額は年々伸びてはいますが、その主要輸出国については必ずしもEU一辺倒ではありません。EU以外では、老舗としての中国や米国、そしてアフリカからナイジェリアやトップ5には入っていませんがカメルーンなどもあります。そして、新しい主要輸出国としてブラジルが台頭してきたことが見逃せません。2008年の1月から事件直前の2月15日までの魚介類の輸出額(HSコード:03)を確認しましょう。

・2008年1月1日~2月15日(22,385千ドル)
(1)ブラジル9,612、(2)イタリア2,844、(3)ロシア1,269、(4)スペイン1,200、(5)ナイジェリア1,150

◆今年に入ってから顕著なのは、ブラジル向け輸出が全体の4割以上を占めているということです。過去3年間でもトップの国のシェアが2割を超えることがなかったなかで、このような突出した数字を出していることは、EU向け輸出停止を決断する上で大きな後押し材料になったのではないでしょうか。

◆当然、そのような打算的な視点だけではなく、EUの指摘に対しては真摯な姿勢で対応していこうとするウルグアイ独特の潔さがあることも事実です。自らに落ち度があった場合は、素直に認めるような美学がウルグアイ人の間にはあったりします。

◆なお、ウルグアイの当局ですが、EUによる輸入停止を3月末までに終わらせたい目標を設けています。早速、ウルグアイ当局関係者をEU本部のあるブリュッセルに派遣すると報じられており、その行動の速さは少々ウルグアイらしくないところがあります。

◆ちなみに、今回の一件の担当となっているモンティエル水産資源局長とは何度も仕事の上で話を交わしたことがありますが、物腰の柔らかいスマートな人物です。元々2005年に議員として当選していたのですが、ムヒカ農牧大臣の引きで、局長ポストを宛がわれた経緯のある若手実力者です。同局長が所属するMPP(与党・拡大戦線内で最大派閥)が親メルコスールであることも今回の政治決断に躊躇いをもたせなかった一因だったとするのは少々穿ち過ぎでしょうか。
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◆南米というと麻薬というイメージを持つ日本人は比較的多いのではないでしょうか。最も有名な国はコロンビアで、日本でも『パブロを殺せ』など壮絶なストーリーを書籍を通じて知ることができます。しかし、それは生産地の話で、南米の小国・ウルグアイは関係ないと思われているところ、次のようなニュースが舞い込んできました。

El Paisによると、22日未明、ウルグアイの麻薬対策チームは、ウルグアイ西部ソリアノ県にある牧場(エスタンシア)において、ボリビア国籍のセスナ機及び乗用車を確保し、142キロの麻薬を押収。一連の麻薬取引に関係した11名(メキシコ人6名、ボリビア人3名、ウルグアイ人2名)を逮捕したことを発表しました。また、警察は、記者会見において、今回の「パハロス・ピンタドス(多彩色の鳥)」作戦については2007年11月から内密に進めてきており、今回取引に関するウルグアイ国内ネットワークを一網打尽にしたことを発表しました。

◆今回押収されたコカインは、密輸されていると推測される2,000キロの一部だったそうですが、ボリビアからウルグアイにセスナでの空輸でやってきて、人の行き交うことの少ない僻地の牧場に着陸。そこから車で首都モンテビデオの冷凍倉庫に運び込まれ、冷凍牛肉又は冷凍魚介類(メルルーサ)のコンテナに忍ばせて、モンテビデオ港から欧州(スペイン)又はメキシコに輸出されることが予定されていました。ちなみに、コカインの単価ですが、生産地のボリビアで2,000ドル/キロであり、消費地のスペインで33,000ユーロ/キロとのこと。末端価格6,600万ユーロ(約105億円)の取り引きだったようです。

◆実は、欧州向けコカインの経由地としてウルグアイはその筋の方々には有名であるようです。ウルグアイ国内のメディアでも以前から指摘されていましたし、昨年もウルグアイ国内では警察による「サンフランシスコ」作戦というコロンビアの麻薬マフィアが関係する大捕り物がありました。

◆麻薬関係者がウルグアイに注目する理由は、「入りやすくて、出やすい」ためです。まず、「入りやすい」点についてですが、今回のようなセスナ機でコカインなどの麻薬を運び込むことはそれほど難しい話ではありません。私がウルグアイにいた頃にもブラジルからセスナ機を飛ばしてきて、ウルグアイの或る場所に「荷物」を投下して、それをウルグアイ国内にいる仲間が拾いに来るという話は聞いたことがあります。広大な原野の広がるウルグアイの国土を前に、国境を越えて飛来するセスナ機をウルグアイの警察が捕捉するには限界があります。

◆そして、「出やすい」点についてですが、米国政府が昨年の段階でモンテビデオの港湾施設及び空港施設に対する麻薬等のトラフィックに対する脆弱性を指摘していました。麻薬ではないのですが、2~3年前には中国人の不法移民で、中国からウルグアイを経由して最終的に米国に渡るというビジネスが行われており、ウルグアイの国境管理の甘さは広く知られています。

◆そのようなウルグアイに関する常識と照らし合わせると、今回の麻薬一味の計画は必ずしも杜撰だったわけではないことが分かります。既に述べているように、セスナ機の到着場所を手配していましたし、モンテビデオに運び込んだ後の輸出方法についても手抜かりはなかった模様です。そして、逮捕されたメキシコ人は既にモンテビデオ市内にアジトを2箇所構えており、長期的に今回のプランを準備した形跡があります(余談ですが、そのうちの一つのアパートは私が住んでいた場所と同じ通りだったようですけど)。

◆それでも捕まっているというのは、今回は麻薬一味よりも警察の方が周到さで上だったということでしょう。国境警備や港湾管理で最新鋭の技術やインフラを導入するほどウルグアイ政府には予算に余裕がない中で、麻薬経由地としてウルグアイというレッテルが払拭される日は近くないような気がします。解決の糸口のためには米国をはじめとする他国からの援助次第といったところでしょうか。
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◆巷ではすっかり米ドルが弱くなっていることが当然視されていますが、南米もご多分に漏れず、現地通貨の対米ドルレートが2007年あたりから急速に強くなっています。Mercopressによれば、これらの国々では次のように自国通貨が米ドルに比べて高くなっています。

ブラジル 16.69%
ウルグアイ 11.86%
コロンビア 9.91%
チリ 6.64%
ペルー 6.17%

◆ウルグアイのケースに限定して話を進めていきますと、現地通貨であるウルグアイ・ペソは昨年のこの時期でしたら24ペソ/米ドルで両替のレートでしたが、現在では21ペソ周辺になっています。現地の日本人にとっては生活しにくくなったようにも映りますが、日本円にしますと、1ペソ/5円周辺のままであり、現地に生活する日本人の心理的な影響はさておき、実質的は変化はありません。

◆豊富な天然資源を有するブラジルやチリ、ペルーなどの南米諸国に引き替え、ウルグアイは特段の天然資源を有しているわけではありません。それでも自国通貨が高くなっている理由とされているのが海外からの投資が増えているという実態です。2007年11月からフィンランドのBOTNIA社がセルロース工場を稼動させ、欧州等に向けて輸出を開始しました。このプロジェクトの投資額が10億ドル。ウルグアイのGDPのおよそ10%に値します。

◆BOTNIA社の工場稼動を受けて、翌月にはスペインのENCE社がセルロース工場建設の工事を開始しました。これも10億ドル以上の投資であり、2009年か2010年には完成する予定です。その他にもセルロース関連では10億ドル規模の投資計画が2~3程度存在しており、その結果ウルグアイ・ペソに対する需要が出てきていると見られています。何せ夏の観光シーズンにアルゼンチンから観光客がやってくるだけでウルグアイ・ペソが高くなるような国なので、この程度の動きでも十分に反映されてしまいます。

◆自国の通貨高については、輸出産業が打撃を受けるということで特に農牧業を中心とした輸出業界は政府に対して通貨高を抑え込むような介入を要請してきました。少し余談を交えますと、ここでも2009年大統領選の予行演習が行われており、農牧業界に支持者が多いムヒカ農牧相は通貨高に反対する立場から政治的な発言を繰り返し、それにアストリ経済財務相が反対するという構図を過去3年間で作り上げてきていました。ムヒカ農牧相のボディーブローがどこまで効いたのかは来年の選挙時に判明するでしょう。

◆以上のような与党内における政治的な鞘当はあったものの、米ドルに対する通貨高はそれほどの国内問題にはなりませんでした。理由は簡単で、今回の現象はウルグアイ・ペソ高ではなく、単純に米ドルが弱くなっているだけであり、また他の南米諸国も同様に現地通貨が高くなっているから特に輸出での打撃を受けることがないためです。

ウルグアイ中銀が公表している2007年11月のデータを見ますと、2007年1-11月期の輸出は前年同期比で13.3%増。この数字は過去1~2年間のトレンドを維持しています。そして、ウルグアイ・ペソ高の影響は対米輸出で歴然としており、前年同期比0.1%増。ウルグアイの対米輸出のシェアは11.6%と2005年11月期の22.4%の半分近くに下がっています。

◆このような傾向が反映していることとして、一時期盛り上がっていた米国とのFTA論争が、両国政府の事務方で外堀を埋めるべく動いているようですが、今では国民からあまり相手にされていないようです。また、皮肉にも米国のプレゼンスが衰えることがアストリ経済財務相の神通力も衰えさせる結果にもなり兼ねない情勢に入っているのかなと見ています。

◆この対米輸出の停滞を埋め合わせるようにして、対ブラジル輸出は25.3%増、対EU輸出は25.2%増と大きく伸びています。これら地域との通貨は2007年も若干の上下はあったもののほぼ同じレートで推移しており、恐らく農牧業界は米国市場ではなく、ブラジル市場に回帰しているものと見受けられます。

◆また、この輸出動向にかかる若干の例外として対アルゼンチン輸出がありますが、それについては日を改めて話をしていきたいと思っています。
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◆先日、ベルガラ・ウルグアイ経済財務次官が東京でセミナーを行うとの案内が手元にやってきました。同次官とは直接二人で話をする間柄ではありませんでしたが、仕事の関係で同じ場所に立ち会うことは幾度がありました。そのセミナーで果たして何を話をするのか関心ありますが、当日はスケジュールの都合がつかずに恐らく欠席でしょう。残念。

◆「所詮、小国の経済財務次官だろ」といって、セミナーへの面白味を見出せないと悩んでいる当日の出席予定者の方々にちょっとした質疑応答に向けたヒントを差し上げたいと思います。

◆ベルガラ経済財務次官ですが、ウルグアイではアストリ経済財務相率いる経済マフィア(ウルグアイ・メディアでは「経済チーム」と呼んでいますが)の番頭格の人物です。現在のバスケス政権において、ウルグアイは引き続き高い経済成長を続けていますが、その牽引役が経済マフィアの存在です。彼らの原則はIMFの名を利用した中での緊縮財政政策で、IMFの債務を全額返済した現在でもその方針を貫いています。ベルガラ経済財務次官は、その方針の事務方部門で手堅く遂行してきた実績があります。

◆今年に入って、この「経済マフィア」が若干の変化を遂げようとしています。ボスであったアストリ経済財務相が4~6月頃を目処に翌年行われる大統領選準備のため辞任した上で上院議員に戻り、カンセラ中銀総裁が後釜になる見通しになっています。そして、スライド式にベルガラ経済財務次官が中銀総裁になると報道されています。

◆そこで、最初の質疑応答の材料は「アストリ経済財務相辞任後のウルグアイ経済は大丈夫か?」ということです。答えは「大丈夫」なのでしょうが、どこまでベルガラ経済財務次官が自信を持って言えるかがポイントです。それによってどこまで「経済マフィア」が3年間にわたってバスケス政権の経済部門を支配できたかが分かります。逆にここでベルガラ経済財務次官が微妙な逡巡を見せるようであれば、ウルグアイ投資も考えものでしょう。

◆ベルガラ経済財務次官ですが、彼の経歴を紐解きますと、経済財務次官就任前にURSEC(ウルグアイ通信サービス規制機関)という機関のトップでした。この機関、実はウルグアイのデジタルテレビ方式を掌る機関です。日本ではそれほど注目されていませんが、南米におけるデジタルテレビ方式は、現在日本、欧州、米国の三つ巴で熾烈な争いが行われています。その中で、一番最初にブラジルが日本方式を決定し、その次に決めたのが実はウルグアイ。日本方式はウルグアイで敗れ、欧州方式が勝利しました。

◆その決定過程において陰で影響力を与えたのがベルガラ経済財務次官(前URSEC総裁)であったことは知られていません。2007年5月、ノキア社はウルグアイのデジタルテレビ方式決定の権限を与えられてたレプラ工業相と一介の経済財務次官であったベルガラ次官をフィンランドに招きました。欧州陣営はそれまでもEU本部にレプラ工業相を招いたり、スペイン政府がウルグアイで積極的な動きを行うなどしてきました。そして、2007年8月、ウルグアイ政府は欧州方式に決定。ノキア社による技術協力計画などが発表されました。

◆ウルグアイでの日本方式「敗北」の教訓を日本政府が学んでいるのかは不明です。例えば今回の訪日は外務省の招待の様子ですが、万が一デジタルテレビ日本方式挽回の切っ掛けにしたいとする深遠な考えのもとに行われているとすれば大いに評価したいものです。けど、きっとそのようなことはないでしょう。もしかすると、招待した過程において、ベルガラ経済財務次官がそのような影響力を有してきたことすら把握していなかったかもしれません。

◆そうなりますと、二つ目の質疑応答の材料は「なぜウルグアイにおいて日本方式は敗れたのか、そして欧州方式は勝利したのか」ということです。そして、同次官はウルグアイへの投資誘致についてもセミナーでは話をするでしょうから、それならウルグアイがデジタルテレビを材料にして日本の官民を相手に交渉するくらいの真摯さがあっても良かったのではと問い掛けることができるのではとも思えます。

◆今回の訪日が外務省の招待であれば、それくらいの修羅場は差し上げても良いのではないかと思いますが如何でしょう。そうでないと、予算消化のための招聘かと後ろ指をさされるでしょうし、日本方式を葬ったかもしれない張本人に物笑いにされてしまいます。

◆このセミナー、申し込みは2月20日までになっています。ご参考まで。
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◆これまでも何度か取り上げているバスケス政権の内閣改造の話。浮かんでは前進しないままできましたが、2月9日付のエル・パイス紙によれば、ようやく着地点が見えてきたようです。正式な発表はまだですが、これで大方決まったでしょう。

◆今回の内閣改造では、ガルガノ外務大臣、レプラ工業エネルギー鉱業大臣、ブロベット教育文化大臣、ベルッティ防衛大臣、アラナ住宅大臣が対象者であることが濃厚で、後任をエル・パイス紙では次のように報じています。

新外務大臣 フェルナンデス大統領府長官
新工業エネルギー鉱業大臣 マルティネスANCAP(石油公社)総裁
新教育文化大臣 シモンANTEL(電電公社)総裁
新防衛大臣 バヤルディ防衛次官
新住宅大臣 コラッセOSE(水道公社)総裁

◆今後の焦点は、この人事に加えて、アストリ経済財務大臣を今回の内閣改造で加えるかどうかです。既に各方面から今年の4~5月に交代することが濃厚と伝えられている同相ですが、前倒しで交代することも考えられます。その際の有力な後任はカンセラ中銀総裁であり、その中銀総裁の後任にベルガラ経済財務次官が就くというのが順当な見立てになっています。

◆今回の内閣改造については、既にエル・パイス紙が2月8日の時点で内閣改造が近いという探りを入れたような記事を書いていました。そこには今回の5つの交代ポストが明示されており、この新聞記事に波長を合わせるように、その日にバスケス大統領が書く担当大臣を大統領公邸に呼び寄せて、交代にかかる協議を開いたと伝えられます。ウルグアイではこのような権力者とメディアの距離は非常に近く、これを単純に特ダネと見るのか、それともバスケス大統領が書かせたと見るかは議論の分かれるところだと思います。個人的には、後者だと思いますけどね。

◆これまで浮かんでは消えていった内閣改造の話ですが、遂行するに際して唯一の頭痛の種だったのは、ガルガノ外相の処遇でした。無能な彼を外相ポストに留めることによる国益の損失と上院議員に戻したときの与党内の混乱を天秤に掛け続けていたわけですが、今回ようやく上院議員に戻すことをバスケス大統領は決断しました。バスケス大統領としてもそのために彼だけをクビにするのではなく、複数の閣僚を含めることで色を薄めましたし、後任の外相についても、ガルガノ外相に敵対するような人物を充てませんでした。

◆過去のブログに書いたかもしれませんが、もともとバスケス大統領が2005年に就任するにあたって上院議員だったガルガノ氏を外相として起用する考えはありませんでした。同氏のプレゼンスについてはそれなりの理解を示しながらも、閣内に入れることについてはリスクを感じ取っていたようで、同氏には軍事政権時代に亡命先としていたスペインの大使職を与えるという報道が当時流れていました。

◆そのような組閣の動きに反発したのがガルガノ氏が所属する社会党でした。この社会党にも2派ほど分裂しているのですが、自派のボスが閣僚に就かないことに対してバスケス大統領に大きな圧力がかかり、渋々バスケス大統領がガルガノ氏に与えたというのが実情でした。そのような因縁があるため、両者の間には政権期間中も常に隙間風が吹いており、「外相不在」の状況がウルグアイでは続けられてきました。

◆今回の実質的なガルガノ外相のクビについては、バスケス大統領にとっては、党内に悪い影響が波及しないようにする配慮は見られましたが、ガルガノ氏との二者の間においては約束を違えていないとする強気の姿勢を崩しませんでした。9日付のエル・パイス紙によると、バスケス大統領とガルガノ外相との協議で外相交代を同大統領が伝えたところ、同外相は承知せず、一度目の協議は物別れに終わったとのこと。そして、二度目の協議に際しては、ガルガノ外相より自らの派閥から後任を出すことを辞任の条件としたそうですが、その条件をバスケス大統領は拒否したと報じられています。

◆今回の閣僚交代については、それぞれの派閥から条件や不満が色々と出てきたと伝えられます。何事にも動かすに際しては摩擦が生じるものですが、ウルグアイの与党・左派連合も例外ではありません。ただ、今回の閣僚交代では、「若返り」と「脱政治色」というキーワードのもと、バスケス大統領はぶれなかったと見ることができます。

◆今回の内閣改造のキーワードである「若返り」と「脱政治色」。2005年のバスケス大統領就任の際には、1985年の民主化以来、長年政権党になることが出来なかった左派連合の領袖達に対する論功行賞の意味が非常に強いものでした。平均年齢も比較的高かったですし、そこで彼らに対するガス抜きをしておかないと、後でどのような地雷を仕込まれるかわかったものではありませんでした。バスケス大統領が当時の社会党のリーダーであったガルガノ上院議員に渋々外相ポストを与えたのもその文脈からすると政治的な配慮としては自然であったと見ることができます。

◆それから3年近く政権を維持して、バスケス政権はそれなりの成果を見せていますが、やはり政治的に構成された内閣でやることにバスケス大統領は疲れています。したがって、そろそろ「うるさ型」の年寄りには退場願って、テクノクラートのような専門性を持ち合わせていながら口を挟まないような人物を新たに閣僚に任命して、残りの任期は自らの好きにさせて欲しいというのがバスケス大統領の偽らざる気持ちではないでしょう。

◆ちなみに、退場する方々の今後の行く末については、エル・パイス紙が次のような予想を立てています。ほんのご参考まで。
・ガルガノ外相 → 上院議員
・レプラ工業相 → 駐米大使
・ブロベット教育文化相 → 左派連合総裁
・ベルッティ防衛相 → ご主人の介護のため、引退
・アラナ住宅相 → 駐仏大使

◆さて、大統領就任3周年を迎える3月1日までにバスケス大統領は新体制を整えることができるでしょうか。今後のウルグアイ国内政治を観察するポイントとしては、バスケス大統領が重い腰を上げて動いたことに対して、果たして与党・左派連合が横槍を入れてこないかどうかでしょう。左派連合は高度に政治化(左傾化)した組織になっており、総じて今回の内閣改造が「脱・政治化(左傾化)」であることを敏感に嗅ぎ取っているでしょうから、去り逝く者(といっても不満タラタラのガルガノ外相でしょう)が火を点ける可能性を排除できません。
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◆バスケス大統領が毎年のごとく、夏のバケーションを地方で楽しんできましたが、職場(大統領府)に復帰した第一声が「再選は望まない」という宣言でした。このような宣言を昨年6月に続いて二度もさせてしまうところに現在の与党・拡大戦線の分裂具合が読み取れます。憲法を改正してでもバスケス大統領にもう一期大統領をやって欲しいというのは、あまりに非現実的な駄々であり、政治的人間として過去20年近く拡大戦線内を泳いできたバスケス大統領でもそのようなウルトラCを成し遂げるのは無理というものでしょう。

◆来年のことを言うと鬼が笑うとは日本だけのことなのでしょうか、ウルグアイでは真剣に来年の大統領選挙のことを議論をしています。他に話題がないといえば「ない」のかもしれません。そして、次の大統領は恐らく与党・左派連合から出てくるのでしょうが、それもこれも野党がダラシナイことに尽きたりします(日本となんとなく光景がダブって見えたりします)。

◆ここ数週間は、野党第一党である国民党の候補選びがウルグアイの主要紙で話題になっています。大きく二つの派閥が対峙し、2004年に続いて2009年も同じ候補がまずは党内で競い合いそうです。頭領がなかなか隠居するつもりがないために、若手が育たないというのは、日本の野党第一党の話だけではなく、ウルグアイも同様です。更に似ているのか、この頭領(ラカジェ元大統領)、「次の大統領選には出ない」とたしか2005年に言っていたはずなんですけどね。舌の根も乾かないうちにというのは万国共通で政治家の特許のようです。

◆世代交代が行われていないのは不幸だとウルグアイの政治を見ていて痛感します(これくらい岡目八目に日本の政治も見れれば良いのですけど)。伝統政党と言われてきたコロラド党と国民党は既に過去の栄光はありません。致命的であったのは、1985年の民主化以降において、大統領になってきた人間があまりに権力に固執しすぎた点です。確かにウルグアイでは大統領職を二期連続で務めることができないという憲法の条項があるのですが、各政党内では新陳代謝が行われずに来ました。両方の伝統政党の元大統領(サンギネッティとラカジェ)とも若くして大統領になってしまったために、「まだやれる」と勘違いしているようです。

◆元大統領だった人物が時代の変遷を経て再び大統領職で復活した際に素晴らしい治世を行われたという話を南米では聞いたことがありません。アルゼンチンでもペロンを戻せといったところで、結果はダメでしたし、現代でもペルーのガルシア大統領はやっぱり冴えないままです。アルゼンチンのメネムが戻ってこなかったのも、ペルーのフジモリが戻ってこないのも、もしかすると南米人の思いつきではなく、智慧なのかもしれません(ガルシアの場合は、相手がひどすぎた)。

◆さて、ウルグアイですが、その意味からすると、元大統領と肩書きのつく人間はやめたほうが良い。国民党のラカジェ、コロラド党のバジェは既に「使用済み」の人間であり、自然豊かなウルグアイの地方でのんびりと過ごすのが余生の過ごし方として正解だと思います(今回からサンギネッティ元大統領が野心を見せていないのは数少ない救い)。ただし、この懐古趣味というのはウルグアイのDNAみたいなところがあって、なかなか新しい世代を受け入れようとする素地がないんですよね。国民のレベル以上の政治家は登場しないということであれば、ウルグアイ的な頭領を今も昔も抱えて続けているのかもしれません。

◆今日はマニアックな書き方をしました。次回からはまた基本線に戻るとしますかね。
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