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◆麻生総理は11月にAPEC首脳会議のために南米のペルーに訪問しました。南米に日本の総理が訪問するのは、2004年に小泉総理がブラジルやチリに訪問して以来。日本と南米諸国との連携を考える絶好の機会と外務省の中南米局あたりは考えたことでしょう。積極的に麻生総理の日程に首脳会談などの日程を埋め込もうと動いたのではと察します。

◆その結果はこちらの11月21~23日のリンク先にありますが、首脳会談の相手を羅列すると次のとおり。

【11月21日】
 グエン・ミン・チエット ベトナム国家主席
 アラン・ガルシア ペルー大統領
【11月22日】
 ジョージ・ブッシュ 米国大統領
 アルバロ・ウリベ コロンビア大統領
 ドミトリー・メドヴェージェフ ロシア大統領
【11月23日】
 フェリペ・カルデロン メキシコ大統領

◆このなかで注目したいのは、ペルーとコロンビアを相手にした首脳会議です。

◆まず、ペルーとの首脳会談ですが、要旨はこちら。ホスト国なので首脳会議が開催されるのは、当然の成り行き。ペルーのガルシア政権は、アジア市場への戦略的なアプローチを実践しており、中国・韓国に並んで日本にも熱い視線を注いでいます。今回の首脳会談では二国間投資協定の締結も然ることながら、来年2月のガルシア大統領訪日時に向けたFTA締結への動きを確認したのでしょう。最初はどうなるかと思われたガルシア政権ですが、自国の資源を武器にして、強かな外交を進めているようです。

◆そして、コロンビアとの首脳会談ですが、要旨はこちら。その中で注目したいのは、麻生総理が「本年行われている日・コロンビア賢人会の議論も踏まえ、コロンビアとの投資協定締結交渉を開始することとしたい。また、租税条約(二重課税防止条約)締結についても検討したい」と二国間投資協定に触れているところです。

◆一般的に、二国間経済関係の制度的な枠組みの流れでは、まず二国間投資協定があり、次にFTA又はEPAという段取りがあると言われています。日本と中南米でEPAまで至ったケースはメキシコとチリの2件。いずれも米国や欧州という先行事例に乗り遅れまいとする「後追い型(又は追い込まれ型?)」で出来上がっています。したがって、南米の雄とされているブラジルと制度として二国間関係が進んでいない理由は、ブラジルが加盟するメルコスール(南米南部共同市場)と米国や欧州とのFTAが進んでいない点にあったりします。

◆一方、南米諸国の日本へのウェイトの置き方は、太平洋側と大西洋側でどうしても異なってきます。大きく分ければ、日本を意識する太平洋側諸国と欧州を見ている大西洋側諸国といったところでしょうか。今回のAPEC会合ではそれが色濃く投影されており、太平洋側のペルーとコロンビアが着実に日本との経済枠組みの強化を進めています。既にEPAを締結しているチリも加えて、日本の中南米外交の指針が太平洋側に位置する諸国との強化であれば、それはそれで立派なものだと思います。

◆そのような前提でウルグアイを考えていきます。本年10月のバスケス大統領訪日は総選挙が行われるだろうという読みで延期になり、ウルグアイ側によれば、来年の桜の花の咲く頃の訪日で調整しているとの話です。ただ、その時はまた総選挙の噂があり、つくづく日本とウルグアイ二国間のめぐり合わせは悪いです。これら二国間に議論されるべきテーマがあれば、今回のAPEC会合の日程に組み込まれていても良かったのでしょうが、そのようなテーマもありませんし、双方にとってお互いの影はこれまで以上に薄くなっています。

◆それにしても、この数年間で日本にとってのウルグアイの影は薄くなってしまいました。2004年3月のサムライ債の発行の時には、日本の関係者から南米でサムライ債を発行する安定性があるのはコロンビアとウルグアイと言ってもらっていましたし、その後も日本とウルグアイとの二国間投資協定の可能性について、コロンビアあたりと同列に考えていた日本政府関係者もいました。それが今では特にコロンビアとは大きく水を開けられており、挽回の余地はないほどになっています。二国間の関係向上を考える人々はその理由を総括することがあっても良いのではないかと思っています。

◆一つのヒントになり得るのは、コロンビアと日本双方の継続的なアプローチでしょう。例えば、最近では日本コロンビア賢人会があります。本年末に同会から報告がまとめられるとのことですが、その中に投資協定締結交渉が盛り込まれるのは確実だと思います。当然、コロンビアにいる日本関係者によるニーズもさることながら、官民の連携がしっかりと活きたケースだと高く評価されるのではないでしょうか。また、こちらでも触れていましたが、経済ミッションが成功裏に展開されるなど、重層的な経済交流が進んでいます。ウルグアイもコロンビアも移民100周年を迎えましたが、その迎え方に大きな差がついてしまったのは、それ以前の継続的なアプローチが成せた業だと思っています。
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