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◆16日(金)から18日(日)にかけて、ブラジル・サンパウロではFestival do Japao(ふるさと祭り)が開かれていました。職場の仲間からも繰り返し勧められていたので、家族で出かけてきました。会場に着いて何よりも驚かされたのはその規模です。会場は大きく二つに分かれていて、入場してすぐの大きな室内展示場にはブースが相当数並んでいました。トヨタやホンダといった日系の自動車メーカーが車を展示し、日本の果実や野菜を即売するブースなども軒を連ねていました。また、ブラジルではまだお目にかかることのないウォシュレット(メーカーは不明)が展示されているブースに人だかりが出来ているなど、ブラジルにとっての新商品を試す場にもなっているようでした。

◆個人的に楽しみにしていたのは、もう一つの野外ブロックで、各都道府県の県人会の方々がブースを構えて、ご当地の料理を即売していました。17日(土)の午前中に出かけたのですが、沖縄そば(沖縄県県人会)、笹団子(新潟県県人会)、柿の葉寿司(奈良県人会)、広島風お好み焼き(広島県人会)などを次々と食べ、野沢菜漬(長野県人会)をお土産に持ち帰りました。ウルグアイでも日系人の方々が頑張っていましたが、サンパウロの規模は桁違いですし、何よりもその日系人というグループの動員力は敬服ものです。

◆先日も人生の大先輩から「サンパウロは何と言っても世界最大の日系人都市ですから、色々と汲めども尽きぬ勉強の材料があることでしょう」とアドバイスをもらいましたが、改めて、日系人の方々の存在感には関心を抱かざるを得ません。その取っ掛かりとして、これも大先輩から紹介された『百年の水流』(外山脩著)を毎晩読んでは興奮を覚えています。ちょうど800ページの大著で、なかなか前に進んでいませんが、それでも読み続けさせるのは、恐らく同著内のこのフレーズがあるからだと思います。

「その志、夢は、この四人だけではなく、当時の邦人社会の指導者の胸中に多かれ少なかれ燃え続けていた炎である。
 この炎を知らずしては、この国に於ける邦人社会の歴史は理解できないし、その炎の存在を否定したら、歴史から艶が消え、ただの、つまらぬ移民の苦労話となってしまう。
 記録するには値せぬ。」 (272ページ)


◆ここに来るまで、その炎の存在を知らずにいましたが、ブラジルにやってきて、遅まきながらその存在に気付きつつあります。
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◆11日から15日にかけてアルゼンチンのフェルナンデス大統領が中国を訪問しています。企業家約70名や関係閣僚4名を連れての大型ミッション。さすが派手なことが好きなアルゼンチンと再認識します。このフェルナンデス大統領、本来なら1月に訪中していたはずなのですが、国内問題でアルゼンチンを離れることができないとドタキャンをしてしまいました。当然中国政府からすると、胡錦濤総書記との会談日程まで入れていたわけで、中国人にとっては三度の飯よりも大切なメンツを潰されました。

◆それからの中国の報復措置はなかなかなもので、アルゼンチン産大豆油の輸入を衛生上の理由から禁止しました。アルゼンチンからすると、09年の大豆油輸出全体の7割以上が中国向けで、その年で40億ドル相当稼いでいた金の卵。また、アルゼンチンからの輸出には35%の輸出税がかかっているはずなので、早急に解決したいと思っています。今回の訪中の大きな目的の一つは、この大豆油問題を解決することでした。

◆そして、わざわざ大統領が訪中するに至ったもう一つの理由は、あまり報道されていませんが、中国マネーをアルゼンチンに流し込むためです。アルゼンチン経済が回復基調を続けるなかで、インフラがかなり貧弱であることを現政権は痛感しています。肝心の先進国はアルゼンチンがパリクラブでの債務返済を進展させないために融資を再開させていません。現政権としては、少なくとも大統領選挙のある来年10月までは資金不足に陥りたくないなかで、中国にパトロンになってもらいたいとの期待があるようです。

◆一方の中国にとっては、先進国が躊躇するような市場を攻めたいわけで、資源と食糧に恵まれているアルゼンチンに投資することはお得だと思っている節があります。既に今年3月には中国海洋石油がアルゼンチン石油企業に投資を行っていますし、今回は鉄道分野への投資を約束しました。04年にも中国政府による南米諸国への大掛かりな投資のお約束攻勢がありましたが、当時は狼少年で終わっています。今回はその時の反省があると思いますので、本格的な進出になるのではと見ています。

◆フェルナンデス大統領にとっては、そのような現政権の生命線にかかる2つの大きなテーマを解決するために中国に向かいました。そして、首脳会談の冒頭において、1月のドタキャンを「公式に」謝罪しました。プライドの高いアルゼンチン人のトップがそのようなことをしたということは、如何に今回の訪中が大事だったかが分ります。

◆ちなみに、大豆油については失敗。中国政府に足元を見られました。中国の外務報道官からは「相互の今後の成り行きが解決策を見出すだろう」といった禅問答が聞かれました。そして、中国マネーに関しては、幾つものプロジェクトが署名されました。これでアルゼンチン政府が回さなくてはならなかった資金に余裕ができたかもしれません。フェルナンデス大統領は「現時点では満足を上回る結果」といって、上海の博覧会に向かいました。

◆最後に余談ですが、大統領の訪中初日の11日は、ワールドカップの決勝戦。誰が日程設定したのか知りませんが、もしアルゼンチンが決勝戦まで行っていたらどうしていたんでしょうね。もう一度ドタキャンをしていたんでしょうか。この日程、中国側からの提案だったとしたら、その狡猾さは大したものです。
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◆タイトルは、試合終了直後のウルグアイの地元紙「エル・パイス」の見出し。残念ながら、ドイツの水族館のタコが予言(?)したとおり、ドイツが勝ち、ウルグアイが4位でこのW杯を終えました。ウルグアイとしては、3位と4位では雲泥の差なので、国の威信をかけたような必死さが見受けられましたし、対等な試合運びをしていました。少なくとも、先に行われたオランダ戦よりも、もしかしたら勝てるのではという気持ちが強かったです(それにしても、最後のフォルランのフリーキックは惜しかった…)。

◆ウルグアイのベスト4進出は40年ぶりと報じられていましたが、その40年前の対戦相手も実はドイツ(当時の西ドイツ)。その時も0-1で負けました。それにしても、決勝とベスト4では登場する国の格がやはり違うことがこちらのサイトから確認できます。こう言っては何ですが、誰もが納得する強豪すべてベスト4に残ったケースは90年以降ないようです(06年のポルトガルをどのように評価するは分かれますが)。今回のダークホースはウルグアイだったということで、ずいぶんと長い間W杯を楽しませてもらいました。

◆先日どこかのメディアで書かれていたと思いますが、南米3国が負けた際の反応として、「パラグアイは相手を讃え、アルゼンチンはまるで当事者ではなかったかのように振る舞い、ブラジルは泣き悲しむ」とありましたが、正鵠を得ていると思いました。そのブラジルでは、コルコバードの丘のキリスト像のライトアップ(ブラジル国旗の緑と黄色の光が当たったもの)はW杯最終日でおしまいとのこと、黄色と緑のシールで飾られていた近所の地下鉄の駅のガラスも業者の人が丁寧に撤去作業に勤しんでいました。

◆明日(11日)は参院選挙。日本では、夜の前半で選挙速報、後半ではW杯決勝(スペイン対オランダ)ということで、長い夜とともに長い一週間を迎えそうですね。ちなみに「タコ」はスペインとのことです。どうなることやら。
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◆サンパウロで生活をしていると、時折、東京の物価と変わらないと思うときがあります。例えば、お昼時のビジネス街。日本食レストランのメニューは平気で30レアル(約1,500円)を超えています。それでも、地元ブラジル人であふれかえっていることに、赴任当初は驚きを覚えました(その後、ブラジルの一般的な企業には、会社による食事補助が制度として存在することを知るのですが)。

◆時に「ブラジルは東京よりも物価が高いのでは」とか、「南米のよその国はきっと物価が安いだろう」という話を聞きますので、ここで少し調査会社のデータを参考にしてみたいと思います。

Mercer社が毎年発表するCost of Living調査があります。ニューヨークを100にして、世界中の都市を物価の高い順にランキングしています。以前、ウルグアイでブログを書いていたころ、この数字を毎年記事にしていた気がしましたので、ここで少し復活してみたいと思います。

◆主な南米諸国のランキングの変遷は次のとおりです。

都市名: 2008年 → 2009年 → 2010年
サンパウロ(ブラジル): 25位 → 72位 → 21位
リオデジャネイロ(ブラジル): 31位 → 73位 → 29位
ブエノスアイレス(アルゼンチン): 138位 → 112位 → 161位
モンテビデオ(ウルグアイ): 136位 → 131位 → 129位
アスンシオン(パラグアイ): 143位 → 141位 → 204位
サンティアゴ(チリ): 92位 → 128位 → 123位
ラパス(ボリビア): - → - → 211位
リマ(ペルー): 115位 → 122位 → 135位
キト(エクアドル): 142位 → 136位 → 194位
ボゴタ(コロンビア):87位 → 120位 → 66位
カラカス(ベネズエラ): 89位 → 15位 → 100位

◆この調査の基本はドル換算ですので、対ドルの為替の影響が大きく反映することになっていますし、ユーロ高の頃はそれに見合った順位の変動がありましたので、実はあまり順位にこだわることに意味はないかもしれません。ただ、同じ地域の比較をする際の定点観測としては役に立つと思っています(なお、2009年までには140都市強だった対象都市は2010年に214都市に増えました)。調査結果をみると、サンパウロなどブラジルの都市は南米で最も物価の高い部類に入りますし、レアルが高止まりしても、物価そのものは高くなっているようです。

◆ここ数年ウルグアイを訪れていないなかで、友人から「ウルグアイの物価がサンパウロ並みになっている」との話を聞きましたが、この調査結果をみると、そこまで急激に高くなっていることはないのかもしれません。地元スーパーのサイトをみても、テーブルワイン(ボトル)の価格は、相変わらず100~200ペソの間でラインを揃えることができます。ただ、2004年~2007年当時、ウルグアイは世界でも最も物価の安い都市であったことから考えると、幾分かは高くなったかもしれません。

◆ちなみに、この調査によれば、東京と大阪はトップ5の常連のようです。「サンパウロが東京並み」というのは、ちょっとした思い込みの部分があるか、それとも日頃の生活スタイルがもしかすると贅沢なのではないかという示唆なのかもしれません。
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◆最近はサッカーの話しか書いていない気がします。今日は、ウルグアイ対ガーナの一戦が開かれました。娘の世話と風邪をこじらせた妻の看病の合間に、試合をTVで見ていました。

◆試合展開が優勢だったのは、ガーナです。選手に高さとスピードがあり、攻撃が早い。ウルグアイは前半15分以降はずっとガーナに振り回されていました。普段のウルグアイは中盤での球際が強い印象のあるチームなのですが、その特徴が出たのは、後半の一部の時間帯だけ。ガーナは、長い縦パスを多用するなどして、ウルグアイの良さを消す試合をしていました。また、ウルグアイもゴールまでは良い展開を見せる場面がありましたが、シュートなどでは自己中心的なプレーが目立っていました。

◆この試合の印象的な場面は、延長戦後半終了間際でした。ゴール前におけるスアレス選手(ウルグアイ)のハンドです。当然ながら一発退場。この試合の質を台無しにするものでしたが、ウルグアイにとっては、得点が入ったら終わりという場面であり、背に腹は代えられない行為でした。その後のPKで得点が入って試合終了となると誰もが思っていたところ、ガーナの選手がまさかのPK失敗。そのまま延長戦が終了して、PK戦でウルグアイは勝利しました。

◆あの場面では、ウルグアイに失うものはありませんでしたし、ハンドしてまで勝ちたいのか訊けば、きっと「はい」と答えたでしょう。ウルグアイにとっては、負けない試合展開に徹した結果、相手チームに比べて、粘り勝つことができたということ。プライドも何もない状況でした。

◆ウルグアイというチームは、勝利という目的に愚直なために、サッカーに関しては、世間の期待を裏切るDNAを持っている気がします。例えば、今回は、アフリカで開催された初めての大会で、アフリカ勢初のベスト4進出がかかっているにも関わらず勝ってしまいました。また、1950年のブラジル大会では、ブラジルが優勝するための大会であったのにも関わらず、決勝戦でブラジルを破ってしまいました。今回のガーナ戦は、ウルグアイのサッカー史にとって、また一つ語り継がれる試合になったかもしれません。

◆最後に、ブラジルの話を。ウルグアイの試合の前に、ブラジル対オランダ戦がありました。結果は1-2の敗戦。その後、近所のスーパーまで買い物に行きましたが、試合後の風景から感じられるものが試合前のものと全く異なっていました。家や車には黄色と緑の国旗などが飾られていたのですが、物悲しく感じました。2014年のブラジル大会を前に、国民全体が当然優勝するものと思っていた中でのベスト8敗退。季節的にもブラジルの秋はこれから本格化します。
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