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ムヒカ大統領に見るウルグアイ

◆今ではお隣の国として眺めているウルグアイですが、先週の金曜日のロイター電で、ウルグアイ大統領に関する記事が出ていたので、掲載します。

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ウルグアイ大統領、所有資産は18万円相当の車だけ
[モンテビデオ 4日 ロイター] ウルグアイのムヒカ大統領(75)が大統領就任時の宣誓陳述書に挙げた個人資産は、1920ドル(約18万円)相当の1987年型フォルクスワーゲン・ビートルのみだったことが明らかになった。
 3月に就任した同大統領は、元左派ゲリラ活動家で、質素な生活や地に足の着いた態度が国民に支持されている。
 先に公開された同陳述書によると、大統領には負債も預金もなく、ほかに資産も何も持っていない。大統領としての毎月の給料は1万1680ドル(約107万円)だが、その大半を左派の与党拡大戦線や公共住宅プログラムに寄付。大統領官邸への入居も拒否し、上院議員を務める夫人が所有する首都郊外の簡素な家に住んでいる。

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-15695220100607
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◆このムヒカ大統領ですが、温厚そうな風貌と違って、経歴は結構華々しいものがあります(http://en.wikipedia.org/wiki/Jos%C3%A9_Mujicaを参照)。60年代にはウルグアイで発生した都市型ゲリラの一員として活動して、その結果投獄。軍事政権下ではひたすら牢屋の中で過ごしていました。85年に民主化を果たした後には、都市型ゲリラの同志で結成した政党(派閥)に参加。下院議員から上院議員となり、04年の左派政権誕生時には最大派閥の頭領となりました。

◆その頃、ウルグアイで生活していましたが、誰も次の大統領にムヒカがなるとは信じていませんでした。確かに庶民には人気がありますが、その発言の不明瞭さは外国人泣かせでしたし、識者からは大統領に相応しくないと思われていました。ただ、当時のバスケス大統領率いる左派政権は経済成長など実績を重ねて、ムヒカ自身は別段何か功績を残したわけでもないのですが、次第に国民の間に「ムヒカでも大丈夫ではないか」という安心感が出てきたのではないかと思っています。彼が大統領になったことは、ウルグアイで左派政権が根付いた証拠と見ることが出来ます。

◆もう一つは、2009年の大統領選挙において、左派政権は形はどうであれ、新しい候補に「変わった」のですが、対する野党は元大統領を候補に立てるなど、新鮮味がありませんでした。国民に魅力ある提案が出来なかった野党は、自ら勝てる可能性をなくしたと言えます。与野党とも政治家の高齢化が進む中、ウルグアイの好々爺でもあるムヒカが大統領におさまっているいるのは、その意味でも、ウルグアイ的な一つの成り行きだと思います。